『心と体を蝕む「ネット依存」から子どもたちをどう守るのか』2017/11/30
樋口 進 (監修)

オンラインゲームやSNSにはまって学校生活が破綻する子どもたちが大きな社会問題になっています。なぜネット依存になってしまうのか、ネット依存は脳の発達にどのような悪影響を及ぼすのか、どうやったら治るのかなどについて、依存症治療の第一人者の樋口さんが分かりやすく解説してくれる入門書です。
ネット依存になりやすいタイプは、次のような人だそうです。
1)子どもの頃から、さまざまな勝負事や賭け事が好きで、学校の成績も悪くないタイプ
2)人とつきあうのが苦手で、引きこもりになりやすいタイプ
3)ADHDの傾向、ASDの傾向、社交不安障害の傾向があるタイプ
……どきっとしました(汗)。賭け事は嫌いですが学校の成績は悪くなく、対人関係は苦手……どうやら私にもネット依存になる資格(?)は十分にありそう。そういえば「ドラクエ」などのRPGゲームにすっかりはまったこともあるし、DSゲームの「どうぶつの森」なんかは、アイテムがすべて集められるまで、どうしても止められなくて、自分でも「のめりこみっぷり」に不安を感じたっけ……(汗)。もっとも、すでに「大人」なので、「ドラクエ」がオンラインゲーム化してからは、仲間からの圧力でゲーム中断などを自分でコントロールできなくなる危険性がありそうだから参加(購入)しなくなりましたし、「どうぶつの森」に至っては、ゲーム機の設定時間を変えて、どんどん日付を変えることで、2週間ぐらいで1年間経過させるという荒業を使って「コンプリート」させるなどの工夫をしましたが……。この時は、なんと自分の「季節感が狂う(夏なのにゲーム内は冬)」という貴重な違和感を体験もすることが出来ました(笑)。なのに、また同じようなDSゲームを買って同じようなことをしたことも(苦笑)。「コンプリート」した直後の気持ちは、「達成感」というよりも「脱力感・虚無感」だったのに……。
そんな私なので、「ネットやスマホは使いすぎるな」なんていう言葉だけで、「ネット依存」が防げるなんていう幻想は、まったく抱いていません。だから子どもたちの「ネット依存」の危険性を、本当に心配しています。
日本よりネット利用が進んでいる韓国では、2002年にネットカフェでネット依存者が「エコノミークラス症候群」による心不全で死亡するなどの事件も発生しています。また、「ネット依存は脳を破壊する」という衝撃的な事実もあるそうで、この本にもネット依存者の脳画像が掲載されていました。オンラインゲームは「頭と手を使う」ので、脳細胞は活性化するものと勘違いしていましたが、違ったんですね!(オンラインゲームにのめりこんで、睡眠や食事、運動などの活動を犠牲にした結果なのかもしれませんが……)すごく怖いと思いました。
ネット依存の危険性がもっとも高いのは、オンラインゲームのようですが、LINEなどのSNSの場合は、ネットへのログイン時間自体は短くて細切れなので、ネット依存自体が見えにくくなっているのではないかと思います(樋口さんも、そう指摘しています)。LINEの場合は「相手」がいるので、自分だけ止めるということが、やりにくいことも問題だと思います。やはり何か法規制をしてでも、「みんなで一時停止」させる必要があるのではないでしょうか。
問題を受けて、韓国ではネット依存の予防策として、「シャットダウン制(利用者が16歳未満のIDの場合は、午前0時から朝6時まで、強制的にネットをシャットダウンしてしまう)」が導入されたそうです。
日本でも、東京や岡山での取り組みが紹介されていました。
参考:東京都の「SNS東京ルール」
1)1日の利用時間と終了時刻を決めて使う
2)自宅でスマホを使わない日をつくる
3)必ずフィルタリングをつけて使う
4)自分や他者の個人情報を載せないようにする
5)送信前には、相手の気持ちを考えて読み直す

すでに「ネット依存」が疑われる人が家族のなかにいる場合は、家族で話合うだけでなく、外部に助けを求めることも考えてみた方がいいかもしれません。この本では、「久里浜医療センター」で行われているネット依存の治療が具体的に紹介されています。治療の流れや、初診でのポイントなどが記載されているので、とても参考になると思います。「ネット依存」は治療できるそうです(全国の精神保健福祉センターなどの電話番号の一覧表もあります)。
「ネット依存」の危険性は、今後も増加する一方ではないかと思います。「ネット世界」以外の活動を充実させるためにも、「久里浜医療センター」で行われている「治療キャンプ」のような取り組みを、学校などでも実施してみたらどうかな、と思いました。
「ネット依存」は他人事ではないと思います。心配を感じている方は、ぜひ読んでみてください。