『仮想通貨革命で働き方が変わる――「働き方改革」よりも大切なこと』2017/10/19
野口 悠紀雄 (著)

本当の「働き方改革」は、組織に依存せずに働くこと……仮想通貨などのIT技術の活用で、組織に属さないフリーランサーが活躍する機会が増えつつあるそうです。これはいわば、産業革命前の「個人事業の時代への回帰」なのだとか。この本は、私たちが今、経済活動の基本的な転換点に立っていることを考えさせてくれます。
さて、働き方へのIT技術の活用というと、「テレワーク」や「フレックスタイム」もその一つでしたが、予想していたよりも普及していないような印象があります。その理由は、日本の企業では、グループとして柔軟に仕事の分担を変えたり、グループ全体で進捗管理や評価したりしているのが現状だからだそうで、確かに、「テレワーク」を進めるためには、「組織における仕事の進め方を全面的に改革することが必要」なのでしょう。
また、「高齢者が働きやすい社会を実現させる」ことも必要で、社会制度をそれに合ったものに直すべき、などさまざまな提案がなされていました。
とても参考になったのは、「クラウドソーシング」としての「インターネット上の移民」活用の話。「クラウドソーシング」という形で企業内の事業をアウトソースする場合、アウトソーシングの対象は、海外の労働力を求めることも可能だという話で、確かに、これなら「移民への抵抗感」が強い日本でも、外国の労働力を活用した問題解決をしやすいような気がします。
また、この「クラウドソーシング」は、もちろん国内でも利用できます。「クラウドソーシング」を活用することで、組織に雇われるのではない新しい働き方「フリーランシング」を促進できるのではないでしょうか。
野口さんも「インターネットを介して、個人が組織と対等の立場で仕事をすることが可能になってきている。また仮想通貨を利用すれば、これまで個人事業での最大の難所であった送金、課金の問題を解決できる」と言っています。
また、UberやAirbnbなどの「シェアリングエコノミー」という新しい働き方も、組織に束縛されることや定年などもなく、所得を得る手段を提供しつつあります……が、仮想通貨やブロックチェーンの活用(スマートコントラクト)が進むと、現在はかなりの手数料を徴収して中央集権的仲介業を行っているUberやAirbnbさえもが不要になってしまうのだとか(!)。
サービスの供給者と需要者が仲介者を介さずに直接に結びつくのは、サービス手数料などを徴収されずに済むので嬉しい気もする反面、何か問題があった時も、誰も「仲介(仲裁)」してくれないのだな、と心配になってしまいます。野口さんも、「事業がブロックチェーンで自動的に行われるようになると、それを規制することが、きわめて難しくなる。なぜなら、規制すべき対象がいないからだ。」と言っていますが……個人的には、全部を「市場に任せてしまう」ことは危険なような気がします。
「働き方」に関して、いろんな視点から考えさせてくれる本でした。
「働きたい人が、働き甲斐を感じながら働き続けられるようになる」ことが、本当の「働き方改革」だと思います。組織の中で働きたい人は組織の中で働き、個人で働きたい人は個人で働いて、誰もが幸福を感じるような世界になっていくと良いな、と思います。