『職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』2016/9/16
沢渡 あまね (著)、白井匠 (イラスト)

「他人に構う余裕がなく、会話がなくなった」「裁量労働制……お金にならない残業が増えただけ」……そんな職場の「あるある」な問題は、なぜ起こるのか? 原因と全体像を図解して、その解決策を教えてくれる本です。
職場の問題を解決するには、残業規制のような「制度」と、研修のような「個人スキル」の強化だけでは不十分で、根本的な解決策が必要なのだそうです。この本では、「制度」「プロセス」「個人スキル」「場」の4つの観点で問題点を洗い出した上で、解決策を教えてくれます。
まずは問題地図の「1丁目 手戻りが多い」。手戻り発生の原因には、次の4つがあるそうです。
1)いきなり100点をとろうとする(期限ぎりぎりに資料提出)
2)状況の変化に対応できていない
3)仕事のやり方や品質がバラバラ
4)レスや判断が遅い

おっと、いきなり思い当たるところが……(汗)。期限ぎりぎりに、資料の完成形を出せばいいと思ってはいけないようです(汗、汗)。
そして、これらの原因で発生しがちな手戻りは、次のような方法で、上流で防げと教えてくれます。
1)「ポンチ絵(ラフ絵)」を描く
2)報連相のタイミングを設計・合意する
成果物のイメージ合わせと、報連相設計がカギなのですね。
ちなみに著者の沢渡さんは、新人時代に、「1週間かけて100点とるより、1日ずつ30点をめざせ」と上司に言われたそうです。「仕事を受けたら5つのポイント(目的・インプット・成果物・関係者・効率)を確認する」「きちんと報連相する」を毎日やるのが大事だと痛感させられました。問題の多くは、コミュニケーション不足に根っこがあるようです。
さらに「6丁目 属人化」の問題では、「マニュアルは引き継ぎのときに作ってしまえ!」という実践的な解決法を教えてもらえます。そして「ああ、この仕事イヤだ」という仕事を抱えている人も、すぐその仕事をマニュアル化した方が良いそうです。なぜなら、そうすることで、「仕事について考えなくてもよくなる」「短時間でこなせるようになる」「外注化できるようになる」効果があるからだとか。
そして「うーん」と唸らされたのは、「9丁目 仕事をしない人がいる」問題。仕事をしない人を生む5つの原因があるそうです。
1)何をもって「がんばった」「仕事をした」と言えるのかがわからない
2)デキる人が全部やってしまう
3)不適材不適所
4)「がんばったって評価されないし」
5)「がんばらなくてもクビにならないし」
困ったことに、これらの原因で発生した「仕事をしない人」は、新たな仕事をしない人を生むのだとか。そりゃそうですよね、「やらない人」の分の仕事まで、「やる人」や「出来る人」に押し付けられてしまうなら、自分も「やらない人」になった方が、ずっとマシだと誰でも考えてしまうでしょう。
だから当然、「仕事をしない人」を「仕事をする人」に変える方法を教えてくれるのだと思いきや、なんと「2:6:2の法則を受け入れよう」と提案されてしまいました(笑)。
実は、「2(優秀):6(普通):2(残念)」の構造は必ず生まれるので、うまく付き合う方法を考えた方がいいそうです。確かに「優秀な人間」だけのチームを作っても、どうしても「雑用」はあるわけで……優秀な人間のなかの誰かに「雑用のしわ寄せ」がいってしまって、せっかくの優秀な人間のモチベーションが下がってしまうことになりかねません。それよりは、「2:6:2の法則」を受け入れて、人員配置の工夫や、異なる特性を持つ人同士のチーム編成、職務分担の工夫を行ったほうが、ずっと現実的なのでしょう。
こんな感じで、職場の「あるある問題」に、現実的な対応の仕方をいろいろ教えてくれる本でした。残業のない、やり甲斐のある職場にするために、どんな問題をどのように解決したらいいのかのヒントを、いろいろ拾えると思います。職場に困った問題があると感じている方は、ぜひ読んでみてください。