『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 映画オリジナル脚本版』2017/3/16
J.K.ローリング (著)、松岡 佑子 (翻訳)

映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のオリジナル脚本版で、「ハリー・ポッター」シリーズの著者J.K.ローリングさんのシナリオ作家としてのデビュー作です。
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、ホグワーツ魔法学校でハリーたちが使っている教科書『幻の動物とその生息地』をもとに生まれた映画で、主人公のニュート・スキャマンダーは、この教科書の執筆者です。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
さて、この映画は「ハリー・ポッター」の物語より50年以上遡る時代(1926年)が舞台だそうで、ちょっと昔のニューヨークで起きた大騒動を描いています。
探検家で魔法動物学者のニュート・スキャマンダーは、地球一周の旅を終えたばかり。とてもめずらしい貴重な魔法生物を探しての旅でした。ニュートは、短期間の乗りつぎのつもりでニューヨークに降り立ちます。ところが、彼の革のカバンから幻の動物たちが街に逃げだしてしまって、あちこちで騒ぎが起きることに(笑)。実はニュートのカバンの中には、不思議な空間が広がっていて、魔法生物たちの生息地になっていたんです。
カバンの中にいたニフラー(小さな魔法生物)は、キラキラ光るものが大好き。ニューヨークの雑踏の中でコインの音を聞きつけたニフラーは、隙をみて脱走してしまいます。そして銀行の金庫で大暴れ。苦心の末、ニュートはなんとかニフラーを捕まえるのですが、魔法の杖許可局職員のティナに捕まって、アメリカ合衆国魔法議会に連れていかれることに……。ニュートが落とした魔法生物卵を拾ったノーマジ(アメリカのマグル(人間))のジェイコブも巻き込まれて、どんどん混乱が広がっていきます……という友情と(ちょっぴり愛も)魔法、大騒動の顛末を描いたファンタジー映画の脚本。
実は「脚本」というものをほとんど読んだことがなかったのですが、映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』に興味をそそられて、脚本も読んでみたのです。
「脚本」は「小説」とはまったく違うものなんですね(当然なのでしょうが……)。(シーン1:屋外 ヨーロッパのどこか 1926年夜)、(シーン2:屋外 ニューヨークに近づく船翌朝)のように細切れのシーンがあって、そこに情景と台詞が書き込まれています。それが繋がって、一連の映画のように流れていくという構成になっていました。なるほど、脚本って、こう書くものなんだ……という意味でも、この本は興味深かったです。
そして「脚本」と「小説」のもう一つの違いは、登場人物の内面描写(思っていること)がほとんど書かれていないこと。登場人物が考えたり、感じたりしていることは、表情の描写と台詞から感じ取るしかないんだなーと思いました。細かい内面描写を読ませたい時には、小説の方が向いている(表現しやすい)ようです。
この本だけでも、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の面白さは十分堪能できますが、映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を見ると、各場面が実際にビジュアルに展開していくので、いっそう楽しめると思います。ぜひ読んでみて下さい。
なお、この映画の主人公ニュートが書いたとされるホグワーツ魔法魔術学校の教科書『幻の動物とその生息地』も、単行本と文庫本の形で出されています。