『成功するIoT』2016/8/24
日経コミュニケーション (編集)

IoTの通信サービス・技術を解説するとともに、あらゆる業種・分野・モノに広がるIoTの実例をまとめて紹介してくれる本です。
しだいに事業化への取り組みが本格化しているIoT分野ですが、どのようにIoTシステムを構築していいのかを迷っている方も多いと思います。この本では、自動車や工場、農業など多様な分野での先端事例を紹介してくれるので、構築へのヒントをつかみやすいと思います。
また、IoTビジネス化の壁となっている通信コストについても、LPWA(バッテリー消費量が極めて少なく、一つの基地局で幅広いエリアをカバーできる通信技術)などの最新技術の解説があるので、参考になると思います。
「IoTビジネスの本質とは、可視化されていないアナログデータを、センサーなどを使ってネットワーク経由でデジタル化することだ。これまで経験や勘に頼ってきた取り組みを、データとして可視化、分析することで、業務効率化や付加価値向上、新サービスの提供などにつなげる。そのためIoTは、データの収集、そして「見える化」がスタート地点となる。」のだそうです。
でも「これまで可視化されていないアナログデータの可視化や分析」と言われても、いったい何をどうしたらいいのかが分からない方も多いのではないでしょうか。この本では、「農業」「小売業」「エネルギー」「水道」「介護」「自動車」での先進事例が具体的に紹介されているので、参考になると思います。
例えば「農業」の例としては、牛の分娩監視・発見システム「モバイル牛温恵」。ネットワーク経由で親牛の体温を5分間隔でアップし、スマホなどで確認できるようにしたシステムで、温度の傾向から分娩の兆候が見えてきた場合、プッシュで生産者にメール通知するのだそうです。このシステムを利用することで、高い確率で分娩予知が可能になったとか。なるほど、これが「アナログデータの可視化や分析」の活用の一例なのでしょう。
また、農園の様子をカメラで遠隔監視してメールで定期的に配信するサービスの実用化も始まっているようです。
この他にも、「通信・活用技術編」や、「海外動向編」で、さまざまな業種の事例紹介があります。
そして、「セキュリティ編」では、機内娯楽システムから航空機の制御ネットワークに侵入された事件や、東京ガスのガス設備遠隔操作パスワードに運用不備があった問題などの具体的な事例によって、IoTシステムでもセキュリティが重要だということを痛感させられます。その中で紹介されていた「サービス開発者がIoTサービスをセキュアにするための心得」はとても参考になったので、以下に紹介させていただきます。
「サービス開発者がIoTサービスをセキュアにするための心得」
共通対策
1)ソフトウェアを更新しやすい仕組みを組み込む
2)TLSで通信を暗号化する
3)パスワードや認証を正しく運用する
ハード/ソフト技術の対策
4)物理セキュリティを採用する
5)ソフトウェア難読化

具体的な事例を通して、IoT全般について幅広く学べる本でした。ぜひ読んでみてください。