『あの会社はこうして潰れた (日経プレミアシリーズ)』2017/4/11
帝国データバンク情報部藤森徹 (著)

信用調査会社のベテラン情報部長の藤森さんが、最近の倒産事例とその原因を紹介してくれる本です。「ジュエリーマキ」の三貴やジーンズのエドウイン、防虫剤・消臭剤の白元など数多くの企業の破綻(再建中のものも多いですが……)が事例紹介されていて、え? エドウインや白元って経営が行き詰っていたの? と驚かされたものもありました。
「倒産の裏側を取材すると、今の日本経済が抱える問題が浮かび上がる。産業構造の変化、高齢化による人手不足や、事業承継問題、為替の変動に翻弄され、巨額の損失にあえぐ経営者。また赤字経営を隠蔽するため、不正会計に走るケースもあった。闇経済に跋扈する人脈などにもたどり着いた。様々な要因、人脈が絡み合い、企業は倒産していった。」と「まえがき」にあるように、破綻に至るまでの要因は、本当にさまざまです。現実に「倒産(再建中)」にみまわれた企業ばかりなので、世の中の厳しさ、経営の怖さを実感させてくれます。
ただ……どうすれば「破綻」しないで済むかについての、まとまった解説はないので、破綻しない方法については、これらの事例から自分で考えるしかないのかもしれません。
それでも「第6章 闇経済、不正、詐欺の舞台裏」には、「取り込み詐欺の被害から企業を守る」ためのヒントが書いてありました。要約すると、次のようなことに気をつけると良いようです。
1)会社の商業・法人登記に関して、商号や代表取締役の変更が多くないか(不自然ではないか)。
2)本業と明らかに異なる事業を開始していないか(登記簿の目的の項目に大きな変更がないか)
3)本店の移転がないか(本店を移転している場合は、「閉鎖登記」も閲覧する)
4)相手の会社への直接訪問(社長が不在、事務所のレイアウトが不自然でないか))

また巻末のコラム「倒産の予兆を知る「目利き力」」には、情報収集のコツが紹介してあったので、これを読むと、取引先の状況などを確認する時のポイントとして参考になりそうです。それは、ヒト、モノ、カネの3つの角度から見るということで、例えば、会社の管理職の辞職や大量採用・離職、商品の換金売り、支払いの滞りなどに注意する、など。その他にもいろいろ具体的なコツが紹介されていました。
「倒産」に至る経緯は、各社5ページ程度にまとめてあるので、すごく詳しいというわけではありませんが、破綻に至る原因はほんとうに様々なので、どんな状況に陥ると会社は破綻してしまうのかの概要を掴みやすいと思います。おそらく最大の原因は、「信用の失墜」なのではないでしょうか。