『むしのほん』2014/12/3
エドワード ゴーリー (著), Edward Gorey (原著), 柴田 元幸 (翻訳)

仲良しのカラフルな虫たちの生活を描いた絵本。「生きていくことの怖さと哀しさと美しさを虫たちに託して描いた特別な一冊」です。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
それぞれ性格が違う、いとこ同士の青い虫、赤い虫、黄色い虫たちが、のんびりと楽しく生活していると、誰とも親戚ではない大きな黒い虫が近所に現れて、彼らの生活をだいなしに……。そして虫たちは……。
可愛い虫たちの穏やかなくらしを、ほのぼのした気分で眺めているところに闖入してくる邪魔っけな黒い虫に、「ちっ」とすごく嫌な気分にさせられたものの……その後の驚きの展開に、思わず言葉をなくしてしまいました。
これは……ハッピーエンドなの? ハッピーエンドって言っていいの? うーん、あの石に立てかけられた手紙、郵便屋さんが見たら困惑しちゃいそうな……それとも、ゴーリー作品の登場人物らしい無表情さで、淡々と配達しちゃうのでしょうか? うーん……。
この『むしのほん』は、1959年にクリスマスのギフト本として、ホッチキス止め600部限定で作られ、翌1960年にはハードカバーで出版されたそうですが……この本をクリスマスのギフトに贈られた人は、きっと複雑な気持ちになったことでしょう。でもまあ……たぶん……最後はハッピーなクリスマスになるの……かな? なにしろ最終ページには、楽しそうにポーズをとる虫とともに、次の一文が添えられているのですから。
「だれもが それはそれは たのしいときを すごしたのでした  おわり」
……ユーモアとホラーが表裏一体になった、ゴーリーさんらしい一冊です……。