『エドワード・ゴーリーの世界』2002/8/1
柴田 元幸 (著), 江國 香織 (著), 浜中 利信 (編集)

ちょっと不気味だけど、どこかユーモラスでもある絵本を描く不思議な人・ゴーリーさんに関する情報が満載のゴーリー読本です。
ゴーリーさんがどんな人か知らなくたって、ゴーリーさんの不思議絵本は楽しめますが、「不気味」と「なんか楽しい」が同居しているあの奇妙で中毒性の高い絵を描く人って、どんな人?と興味津々な方には、ゴーリーさんと関係の深い方々のエッセイや鼎談などで、その知られざる一面を知ることが出来て嬉しいのではないかと思いますし、どちらかというと作品そのものに興味がある私のような人間にとっては、冒頭のカラー図版の、ポスター、カレンダー、ぬいぐるみ、スタンプ、ピンバッチ、Tシャツなどのゴーリーグッズの数々が、すごく楽しめました。

なかでも嬉しかったのは、ゴーリーさんのしかけ絵本二種の写真があったこと!
一つは蛇腹式のぞきからくりの『The Tunnel Calamity』。
もう一つは飛び出す絵本の『The Dwinding Party』。動物園に入った家族が奇妙な動物に襲われて減っていくというかなり精巧にできたポップアップ。この絵本では、最後に残るのが一番小さい子だそうですが、いつも子どもがひどい目に合わされるゴーリーさんの本にしては珍しい展開かも(笑)。
本の中ほどにも、カラーページで、ゴーリーさんの作品紹介があります。これは、編者の濱中利信さんによる120冊の「Primary Books」(ゴーリーさん自身の、またはそれに準じるものとして発表された作品)カタログなのですが、表紙のカラー写真の他に短い解説文がついているので、すごく役に立つと思います。
これらのカラーページだけでも大満足だったのですが、エッセイや鼎談で明かされるエピソードも面白くて、ゴーリーさん本人もかなり変わった方だったようです。濱中さんによる「エドワード・ゴーリーを知るためのABC」は、ゴーリーさんのイラストも満載、ABCでゴーリーさんの人柄や作品を知ることが出来るという凝った構成で楽しめました。
さて、古本屋を営んでいたトゥリーダーノさんのエッセイの中に「経験上、絵の多い本(ほとんど文章のないもの)は、立ち読みされてしまうと売れ行きがかんばしくない。(中略)けれどもゴーリーの場合、これは当てはまらなかった。彼の作品はていねいに目を通される。ほほえみが浮かび、ときにはくすくす笑いが起こり、ことによるとじっと見入るページさえある。棚にもどされる品も二、三あるが、全部ではない――買われていくのだ。ゴーリーの本は読者に所有されることを強く求める。彼を愛する人たちは、私もそうだけど、何度も何度もページをめくって眺めたくなるのだ。」という文章がありましたが、まさにその通り! 時には、子どもたちがひどい目にあうような「イヤな本」すら、もう一度読んでみたくなるなんていう、ありえないことが起こってしまうのです。どうしてなんでしょう? 本当に不思議です……。もしかして魔術師? そういえばお顔もどことなく魔術師のような……。
ゴーリーさんの情報満載の本です。カタログとしても利用できるので、マニアにとっては必需品かも。お勧めです☆