『SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録』2017/4/20
大森 望 (著, 編集), 東 浩紀 (著), 長谷 敏司 (著), 冲方 丁 (著), & 7 その他

SFを書く上での基本的な考え方や発想の方法を教えてもらえるSF創作ガイドです。
2016年4月、書評家・翻訳家・SFアンソロジストの大森望を主任講師にむかえて開講した「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の講義録で、東浩紀、長谷敏司、冲方丁、藤井太洋、宮内悠介、法月綸太郎、新井素子、円城塔、小川一水、山田正紀といった第一線で活躍するSF作家10人が、SFとは何か、小説とはいかに書くかを語ってくれます。また、各回で実際に与えられた課題と受講生たちの梗概(あらすじ)実例18本と、実作例2篇(梗概つき)も収録されている他、大森氏による「SF作家になる方法」という付録もついた実践的なガイドブックです。
講義ももちろん参考になるのですが、受講生たちの梗概・実作のあまりのレベルの高さに驚かされました。ゲンロンの教室の思想は、「受講者=デビュー」だそうですが……本当にこのレベルだと思います。特に梗概の方は、「うわ、この梗概の実作、読みたい☆」と思わされたのが何作もありました。
講義の方で特に参考になったのは、「構成」をテーマとした「第三回(講師:冲方丁さん)」で、「梗概の書き方」や、「面白さ」を生み出す技術などのお話。そのなかの「昨今の風潮ですけど、読者も視聴者も「何の話かわからない」のが嫌なんですよ。」という意見には、すごく共感させられました。この流れを受けて、「冒頭でエピローグを描くのが流行っている」そうですが……そこまで分かりやすい話じゃなくても良いような気もします……。
また「情報」をテーマとした「第四回(講師:藤井太洋さん)」では、Scrivener(チャプターごとに分割できるアプリケーション)など、藤井さんが小説を書くときに使っているアプリケーションや実際の書き方も紹介してもらえます。藤井さんは、推敲するときには、InDesignという組版のアプリケーションに書き出して、通しで読むことが多いそうです。「横書き」で書いて「縦書き」で読む。フォーマットを変えるだけで別の人格、別の目が使えるのだとか。また藤井さんは、地図を描くこともあるそうで、「絵を描くと、自分が書こうとしているシーンに欠けているものを発見することができる」のだそうです。……なるほど。
学生時代は星新一や小松左京を読みふけっていたのでSFは大好きなのですが、なぜか大人になってからは、他の本を読むのに忙しくて、なんとなく遠ざかってしまっていました。でもこの本には、優れたSFが多数紹介されていたので、そのうちのいくつかの作品を読んでみようかなーという気にもさせられました。
これからSFを書きたい人にはもちろん、ただのSF好きの人にも、興味深い話が満載だと思います。ぜひ読んでみてください。