『ロケットボーイズ2〈上〉』2002/2
ホーマー ヒッカム ジュニア (著), Homer H.,Jr. Hickam (原著), & 1 その他

『ロケットボーイズ2〈下〉』2002/2
ホーマー ヒッカム ジュニア (著), Homer H.,Jr. Hickam (原著), & 1 その他

ロケットボーイズ高校3年の秋、炭鉱の町コールウッドに何が起こったのかを描いた青春物語。
前作『ロケットボーイズ』はロケットの研究が中心に描かれていますが、この本は、同じ頃、炭鉱の町コールウッドでは他に何が起こっていたのかを描いた続編です。紆余曲折を経ながらも科学フェアでの優勝に向けてどんどん盛り上がっていく前作『ロケットボーイズ』とは違って、この『ロケットボーイズ2』で主に描かれるのは、炭鉱の町コールウッドの人々の姿と、著者のヒッカム(サニー)さんの内面的葛藤、そして彼の両親の生き方。サニーは、あの時、ただロケットを飛ばしていただけじゃなく、こんなに色んな活動(苦労)もしていたんだなー、とさらに感動が深まりました。
この本はぜひ『ロケットボーイズ』を読んだ後、あまり間をおかずに読んでください。『ロケットボーイズ』で描かれなかった人々の、細かい気持ちが読み取れるようになり、炭鉱の町コールウッドの人々が、いっそう好きになると思います。それというのも、ヒッカム(サニー)さんの彼らへの感謝と愛が、ひしひし感じられるから。そして「世のため人のため」に力を尽くす父母への深い敬愛の気持ちが……本当に凄いご両親です。
この本では、ヒッカム(サニー)さんが、さまざまな悩みに圧倒されそうになりながらも、周囲の人と助け合い、しだいに成長していく姿が描かれていきます。
いろいろな問題に悩むサニーに、一緒にロケット研究に励む天才クウェンティンがくれたアドバイスは、すごく実践的で、さすが頭のいい奴は本当に違うな!と感じさせられました。
「(前略)でもぼくが言いたいのは、きみが複雑な精神状態にあるってことだ。だからこそ、きみには分析不能なんだよ」クウェンティンがぼくをじっと見つめた。「あまり認めたくはないけど、ぼくには前から気づいていることがあるんだ。きみにはひらめきがあるってことさ。ぼくらのロケットになにか問題が起きると、ぼくはたいてい複雑でやっかいな解決法を見つける。だけどきみは、いつもいちばん単純な解決法を見つけるだろ?(中略)こたえは複雑なんだ。それで思うんだけど、まず問題を単純な形に分解してみてはどうだい?(中略)きみの神経症状には単純な解決法はない。単純な原因で起きているわけじゃないから、だから過去を振り返って、どんなことでもいいからきみの心を乱していると思われることを全部書き出すんだよ。(中略)そこには不満や心配、いらだちが書き連ねられることになる。それらをあらためて眺めれば、きみの単純な頭にもなにかひらめくはずさ。もしひらめかなかったら、そのときはぼくが心理学の本を調べて分析してやるよ」

そして父に認められていないという思いに苦しめられていることに気づいたサニーに、リチャード牧師は言います。
「(前略)だれも人の心を変えることなどできやしない。本人と神以外はね。それよりお父さんが与えてくれたいろいろなものを考えてみるといいよ、サニー。きみが暖かい家にいられて、自分の部屋で勉強ができ、好きな本を読めるのはだれのおかげだい?(中略)」
ぼくはすっかり落ち込んだ。「人生ってどうしてこんなに大変なんですか?」
リチャード牧師が眉をひそめた。
「人生は自分でつくるものなんだよ、サニー。たしかに神はわたしたちをろくろで形づくってくださる。だが結局は自分次第なんだ。与えられた形を生かすことができるかどうかは、自分にかかっているんだからね」

そして『ロケットボーイズ』では、いつも明るい姿を見せていた秀才ビリーが抱えていた深刻な悩みや苦しみ……彼らが住んでいるのは、長引く不況に苦しむ貧しい炭鉱の町コールウッドなんだなーと痛感させられるエピソードが続きます。
明るい話ばかりではありませんが、「どこにでも起こりうる」悲劇や苦しみ、「誰でも抱きうる」青春の悩みや苦しみ……そして結局は、それに打ち勝っていく(だろう)炭鉱の町コールウッドの人々の姿に、生きていく勇気をもらえたような気がします。
もちろん苦難を重ねてロケットを飛ばした彼らロケットボーイズは、全員が大学に進学し、その後の人生も頑張って生き抜いていたことは言うまでもありません。
よくできた青春小説みたいに、面白いだけでなく、考えさせられ、そして勇気と励ましももらえる素晴らしい自伝です。ぜひ前作『ロケットボーイズ』とともに読んでください。お勧めです☆