『闘うための哲学書』2014/11/19
小川 仁志 (著), 萱野 稔人 (著)

1970年生まれの行動する哲学者二人が、哲学の「古典」を解説&紹介してくれる本です。
紹介される古典は、プラトン、アリストテレス、デカルト、ルソー、ヘーゲル、ウェーバー、ハイデッガー、アーレント、サルトル、ストロース、ロールズ、福澤諭吉、西田幾多郎などの22冊の名著で、必ずしも著名な哲学書がすべて網羅されているわけではありませんが、哲学の全体的な変遷がざっくり分かるということと、現代的で実践的なテーマを設定して語れるという面から、これらの本を選んだそうです。そのためか、かなり政治的な哲学書が多く選ばれているようです。
ところで「哲学」というと、何か「自分とはあまり関係ないこと」と考えがちで、倫理学や哲学の本を読んだ時にも、思考が天と地の間の白っぽい空間を彷徨っている……という感じがしていたのですが(汗)、この本を読むと、哲学はそういう「机上の空論」的な存在ではなく、実は、社会にとって最も必要な学問なのかも、と考えを改めさせられました(汗……単純なヤツ?)。
この本を読むことで、著名な哲学者の考えのエッセンスを知ることが出来ただけでなく、「哲学する」とはどういうことかということを、二人の哲学者の対談を通して、垣間見ることが出来たような気がします。というのも、同じ本を読んでいるはずの二人の意見や感想が、時々、くい違っていて、とても興味深かったのです。これは、萱野さんはより現実主義的、小川さんはより理想主義的という立場の違いから起こっているようですが、哲学者が、いかに深く本を読みこんでいるかという実例を見せられたような気がします。哲学は「ものごとの本質を探究していく知の営み」で、ものごとの本質を批判的、根源的に探究していく学問です。二人はそれぞれの立場から、これらの本を批判的、根源的に理解しようとしているのでしょう。
その二人が深く読み込んで、分かりやすく紹介してくれるので、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』や、デカルトの『方法序説』なども、その真髄がなんとなく理解できそうな気がしたりして……。もちろん一冊あたりの枚数が少ないので、深くではなく、さらっと紹介されているだけなのですが……。
哲学への興味をそそられる、とても良い入門書ではないかと思います。