『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』1995/6/1
ヨースタイン ゴルデル (著), Jostein Gaarder (原著), & 1 その他

すらすら読めるのに、いつの間にか教養が身についていくという驚異的な西洋哲学入門書です。世界中でベストセラーになり、世界の人々の哲学的素養を高めています☆
主人公は14歳の少女ソフィー。読者は彼女とともに、ミステリアスな哲学の先生に、ソクラテス以前の神話の時代から、現代までの西洋哲学史を教えられていきます。……というストーリー紹介を読んで、「この本を読みたい」と思う人はあまりいないような気もしますが(汗)、実は、本の中にさまざまな謎がしかけられているので、ミステリー小説のように謎に惹きつけられて、どんどん読んでしまいます。
しかも、「ソクラテス」「デカルト」など、紹介される哲学者ごとに、一話ずつが分かれているので、ソフィーとともに休み休み読むことが出来ます。一話ごとに各哲学者の考えのエッセンスが凝縮されていて、分かりやすく解説されてはいるのですが、ちゃんと理解しながら読もうと思うと結構疲れるので(汗)、こんな風に小休止できると嬉しいです。
さて、物語は14歳の少女ソフィーのもとに届いた、見知らぬ人からの手紙で始まります。そこにはたった1行、「あなたはだれ?」とだけ書かれていました。
そして二通目の手紙には、「世界はどこからきた?」。
この二つの問いへの答えを模索してきたのが、哲学の歴史なのだそうです。
たとえば、最初のギリシアの哲学者たちは、あらゆる変化の根底には、なにかある「元素」がひそんでいると信じていました。
そして哲学にとって重要なのは、かれらが何を考えたかではなく、どのように考えたかなのだそうです。
ギリシアの哲学者たちは、自然界の出来事を、語り伝えられてきた神話に頼らず、自然そのものを観察することで理解しようとしました。こうして哲学者たちは宗教から自由になり、科学的な思考法の第一歩を踏み出したのです。
このように「どこかで学んだ知識」をあてはめずに、自分の頭で考えることが、哲学では重要なのだそうです。学校の勉強とは違って、哲学を勉強することは出来ません。哲学的に考えることが学べるだけなのです。
この『ソフィーの世界』は、「もっともかしこい人は、自分が知らないということを知っている人だ」という「ソクラテス」から、キリスト教の世界観に覆われた「中世」、そして「ルネッサンス」、「デカルト」や「スピノザ」などを経て、「カント」、「ヘーゲル」、「ダーウィン」、「フロイト」へと進み、最終的に現代の哲学まで幅広く教えてくれます。
……さて、これらの哲学的名前の羅列をみると、どうしても途中での挫折が懸念されますが(汗)、挫折しそうになる中盤になると、物語には、急におとぎ話の主人公が脈絡なく(?)登場してきて、楽しい変化をつけてくれます。そして最初の問い「あなたはだれ?」が伏線となって、今度はソフィー自身の「実存」がおびやかされ始めます。
ソフィーとは、いったい何者なのか?
そしてソフィーと、その哲学の先生のアルベルトは、最後にどうなるのか?
それが気になって、挫折しそうになる気持ちを乗り越え、なんとか現代哲学まで読み進めることが出来ました(笑)。
最後まで読み切って、哲学で一番大切なのは、「自分の頭で考えること」だと言うことがよく分かりました。しかも、「重要なことは問うことで、答えをいそぐことはない」のだそうです(……ホッ)。
物語の中で、アルベルトは言います。
「結局、哲学の問いとは、それぞれの世代が、それぞれの個人が、何度も何度も新しく立てなければならないんだよ」
そして、「科学や研究や技術はみんな、哲学の思索から生まれたんだ。とうとう人間を月まで行かせてしまったのは、もとはと言えば存在にたいする人間の驚きだったんだよ」と。
この『ソフィーの世界』には、数多くの大切な言葉が散りばめられています。何度も読み直したい本になりました(一度だけでは、とても理解できそうにない……という意味でもありますが……汗)。