『あなたを変える七日間の哲学教室』2014/2/21
ゲルハルト・エルンスト (著), Gerhard Ernst (著), & 1 その他

「いい人生とはどういうものか?」、「道徳とはなにか?」、「何を知ることができるのか?」、そして「哲学とは何か?」……哲学者と読者の対話という形で、これらの問いを深く考えていく本。それを通して、哲学者のエルンストさんが「哲学の使い方」を教えてくれます。
「七日間の哲学教室」のテーマは次の通り。
月曜日 どう生きていくか?
火曜日 他人とどう生きていくか?
水曜日 道徳にはどれほどの客観性があるのか?
木曜日 何を知ることができるのか?
金曜日 世界には何が存在するのか?
土曜日 哲学とは何か?
日曜日 哲学は何のためにあるのか?

例えば「道徳にはどれほどの客観性があるのか?」というテーマでの対話を通して、エルンストさんは、「もし自分と同じ行為を他人がしたらどうなるかを常に考えながら行動しなければならない」、「自分が他人に対して何かをした場合、相手の立場から自分の行動を評価することが大事だということ」を導き出しています。……これ、すごく「まっとうな」意見だと感じました。
ただし何が「正しい」かとか、何を「知ることができる」のかに関しては、哲学的に厳密に考えると……答えが出せなくなるようです。
「「知る」つまり「知識」という概念を定義するのは簡単ではありません。定義できそうになると必ず矛盾を見つけてしまうからです。(中略)とりあえず、「知識」とは「正しく正当化された真実の確信」だと思うことです。」
……哲学者と読者の対話は、このように、厳密な意味を突き詰めていくと、何かしらの矛盾が発生してきて定義を明言できなくなるという展開になることが多くて、読み進めていくうちに、だんだんイライラしてくることもありました(汗)。そして、なんだか「量子世界」を連想してしまいました。「量子的な世界は観測不能」みたいな……。
それでも「現実世界はだいたい観測可能」で、観測された結果や実験結果を活かすことで進化してきた科学技術を使って、さまざまな便利なものを現実に作ることが出来たように、哲学的な概念だって、「だいたいそのような意味」を設定することで、人間の「共通概念」を現実的に形成できるのではないのかな、と思います。
「20世紀に入って哲学者たちは、ものごとの本質を明らかにすることは言葉を解明することにほかならない、と考えるようになった。」のだそうです。これ、私もそう思います。「ものごとの本質」が厳密に何かは分からなくても、ある「もの」や「概念」を表す言葉のだいたいの意味を明らかにすることで、人間の「共通理解」のベースを作ることが重要なのではないでしょうか。哲学というと、何やら高尚で現実的ではないもののように思いがちですが、そう考えると、本来は、すべての人間活動のベースになるものなのではないかと思います。
「哲学とは人間が用いる概念を全体的に把握することで、人間が世界と自己を理解する(基礎的、理論的、実践的)能力を改善しようとしている、と定義できるかもしれない。」のだそうです。
そして「哲学者の役割は、人々に「どう生きるべきか」を自分で考える方法を教えること」。……どう生きるべきかは、自分で考えなければいけないのです。
ものごとを深く「考える力」をつける上で、とても参考になる本でした。ぜひ読んでみてください。