『SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法』2017/4/13
ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著),

グーグルで開発された究極のスピード仕事術「SPRINT」。グーグルとGV(グーグルベンチャーズ)の「成功の秘密」のノウハウを、世界の誰もが使えるように、開発者自身が徹底して具体的に紹介してくれる本です。
「SPRINT」とは、「アイデアをプロトタイプのかたちにすばやく落とし込み、それを顧客とテストすることによって、たった5日間で重要な問題に答えを出す手法をいう。事業戦略やイノベーション、行動科学、デザインなどの手法の「ベストヒット」集を、どんなチームにも活用できる段階的プロセスにパッケージしたもの」だそうです。
実際には、次のような日程で行います。
月曜日:問題の洗い出し&どの重要部分に照準を合わせるかの決定。
火曜日:多くのソリューションを紙にスケッチ。
水曜日:最高のソリューションを選択。アイデアを検証可能な仮説の形に変える。
木曜日:リアルなプロトタイプを完成させる。
金曜日:実際のユーザーに近い本物の生身の人間でそれをテストする。

たった5日間で、プロトタイプを作ってテストする!(実際にプロトタイプを作る期間は、たったの1日)というハードスケジュール。これをこなすためには、もちろん最適なチームで「SPRINT」しなければなりません。しかもチームメンバーは7人以下(この中に、必ず決定権のある人を1人か2人入れておく)。メンバーは多すぎてはいけないそうです。(ただし専門家は月曜の午後のヒアリング時間だけの参加だけでも構わないので、メンバーに多数の専門家を入れる必要はないようです)。
……本当にこんなことが可能なの?と懸念してしまいますが、この本では数例の実例が詳細に紹介されていますし、それ以外にも多数の成功例があるそうです。本で詳しく紹介される事例は、本当に「1週間で「数か月×巨額のコスト」の価値のある仕事」をしたと思えるものばかりでした。
「膨大な『時間』と『資金』をセーブし、たった5日で、アイデア出しから試作、決定までのすべてができるようになる」魔法の仕事術「SPRINT」。この本の巻末には、付録として、「SPRINT」を実行するためのチェックリスト&FAQが掲載されています。この約20ページのチェックリストが本当に凄い☆ まず「準備編」で、課題やメンバーの選び方の他に、必需品の文房具(ホワイトボードや付箋)が一覧表示されます。次に月曜から金曜までの作業内容が、開始時間ともに具体的に提示されていきます。このスケジュールは、基本的に毎日10時から17時。みっちり集中した作業が要求されるので、「疲労」は大敵。しっかり休みを取って、毎日最高のパフォーマンスを発揮してもらうために、このように時間設定されているそうです(朝晩、会社の仕事をしなければならない人への配慮でもあるそうですが……)。大事なことは、「SPRINT」期間中には、他からの割り込みをいっさい許さないことだそうです。
本当に、すごく使える仕事術だなーと感心させられました。
この付録のチェックリストだけでも、「SPRINT」のエッセンスはほぼ把握できてしまうのですが、実際に自分が「SPRINT」を行う場合には、「あれ? 現実にはどうやったらいいんだろう?」と迷うことも多いと思います。その時には、本文の内容(曜日ごとの「SPRINT」の実例の中に、「マップの作り方」、「テストしてくれる生身のユーザーの選び方」などについて具体的事例&詳細説明がある)に戻って読み直すことで、実行へのヒントを掴めるのではないでしょうか。
ところで、この本の邦題は『SPRINT 最速仕事術』ですが、この本の主眼は、「個人の仕事能力」を最高にする方法ではありません。「チームで大きい問題を解決する、プロトタイプ(新しいアイデア)をテストする」ことで、重要事項の方針決定や、問題解決の能力を飛躍的にあげる方法です。この本で紹介される手法の一部は、個人の仕事能力を上げるのにも参考になるとは思いますが、「SPRINT」は原則として、「チーム」で実行するものだそうです(ただしFAQによると、一人での「SPRINT」も「あり」ではあるようですが、チームの「SPRINT」と同じ効果を求めてはいけないとか)。
すぐに実践に移せるほど具体的な方法を教えてもらえる「チームでの仕事術」の本でした。企業だけでなく、国際機関、非営利組織、学校などでも採用され、絶大な効果を上げているそうです。ぜひ読んでみてください。お勧めです☆