『ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』2006/4/28
スティーヴン・レヴィット (著), スティーヴン・ダブナー (著), 望月 衛 (翻訳)

経済学者のレヴィットさんが、日常生活に浸透している様々な通念を、ユニークな分析でひっくり返して見せてくれる本です。『経済学』の本ですが、ほとんど経済学の理論や数式は出てきません。ちょっと笑えるような意外なネタが続出です。
経済っぽい話としては、「インセンティブが現代の日常の礎である」ことの事例として不動産屋の例を教えてくれます。
「不動産屋の営業担当者が自分の家を売った時とお客の家を売った時を比べると、自分の家の場合は最高の買い手が現れるまで待つ結果、平均して10日長く市場に出し、3%強高く売っている。一方、お客の家の場合は、そこそこの買い手が現れればすぐ売り払うよう追い立てる。営業担当者が欲しいのは取引で、早く決めたいからだ。」
……不動産屋さんは、お客の家を高く売っても、自分の取り分はわずかに多くなるだけなので、「高く」売るよりも「多く」売った方が効率的なのだとか。なるほど。
また統計的な手法を駆使して、日本の相撲の八百長も暴き出しています。
さらにヤクの売人はあまり儲からないことも教えられました。……が、これは本当に「ヤバい経済学」でした。なにしろ抗争中の本物のギャングへのアンケートや帳簿データをもとにしたものでしたから。4人に1人が殺される職場にしては、とう考えても給料が安すぎです。
1990年代、米国では予測に反して、あらゆる種類の犯罪が減ったそうです。好景気、銃規制、取り締まり強化などの理由が指摘されましたが、レヴィットさんは、73年の「ロー対ウェイド裁判」によって、中絶が合法化されたことこそ真の理由だということを、データから解き明かしています。
いろいろなネタで、意外な事実に驚かされたり、クスッと笑わされたりしているうちに、「常識」と思っていたことが間違っていることもあることに、次第に気づかされていく本でした。「怪しい」と思うことは、自分でデータを分析して確認しなければいけないのだなと痛感させられました。とは言っても、なかなか実際に自分でデータを検証するのは難しいかもしれませんが、「本当はどうなんだろう?」と常識を疑うセンス(新しい角度でものを見る力)を磨いていきたいと思います。