『図説世界史を変えた50の船』2016/12/5
イアン グラハム (著), Ian Graham (原著), 角 敦子 (翻訳)

クフ王の太陽の船、カティーサーク、タイタニック、大和、コンティキ号……世界史を変えてきた有名な船舶を、写真やイラストで紹介してくれる素晴らしい船の図鑑です☆
それぞれの船の形だけでなく、その船にまつわる記事(時代背景、出来事など)の内容も充実していて、船舶の発達の歴史だけでなく、人間がどこでどのようにして生活し、だれと交易・思想を交換して、戦闘にいかに勝利・敗北してきたのかを、歴史の流れとともに理解することが出来ました。人類と船の壮大な物語が、この一冊にぎゅっと凝縮されています。船好きの方にとっては、本当にたまらない、夢のような本だと思います☆
名前はよく聞いたけど、姿を知らなかったような船(キャプテン・クックの調査船エンデヴァー号、ダーウィンの乗船したビーグル号)などもイラストで知ることが出来ましたし、その当時の社会情勢や船にまつわる出来事なども、すごく興味深かったです。
年代順に50もの有名な船を丁寧に紹介してくれるので、読み終えるのは大変でしたが(汗)、建造当時の最先端技術を駆使して作られてきた船は、それぞれが本当にチャレンジ精神に溢れた人間たちの努力によって作られ、数々の失敗による教訓や技術の進歩を取り込んで、どんどん実用的に、また美しく進歩してきたことがよく分かり、「人間って凄いな」とあらためて感じさせてもらいました。
ジャンルとしては「歴史書」になるのだと思いますが、有名な船の図や写真が収められている図説なので、描画の参考にもなると思います。ただし内容的には、「記事」中心なので、イラストや写真の数は多くなく、サイズも小さめではありますが、船の図だけでなく歴史的背景を知ることも、描画の参考になるのではないでしょうか。
軍艦は、搭載する砲の長さや重量のために大型化していったこと、相手に見つからずに攻撃できる潜水艦、やがて航空戦が本格化すると軍艦は空母へと主軸が移っていったこと、さらに燃料を補給せずに長期間航行可能な原子力船……戦争が、いかに大型の船を急速に発達させてきたかも理解できます。なかでも、沈没したソ連の弾道ミサイル潜水艦から軍事機密を盗みだすためにアメリカが建造した掘削船グローマー・エクスプローラー号についての記事は、凄いスパイ小説さながらのことが現実に起こっていたことを教えてくれました。
いろいろな意味で参考になる楽しい船舶図説だと思います。ぜひ読んでみてください☆
なお、取り上げられている50船舶は、次の通りです。
クフ王の太陽の船、トライリーム(3段櫂船)、ニダム船、イシス号(商船)、モーラ号(ロングシップ)、鄭和の宝船(帆船)、サンタ・マリア号(カラック船)、メアリー・ローズ(軍艦)、ビクトリア号(カラック船)、メイフラワー号(商船)、エンデヴァー号(調査船)、ヴィクトリー(戦艦)、シリウス号(軍艦)、クラーモント号(ノース・リヴァー・スティームボート号、蒸気船)、サヴァンナ号(汽帆船)、ビーグル号(調査船)、アミスタッド号(奴隷船)、グレート・ブリテン号(定期船)、ラトラー号(スクリュー蒸気船)、アメリカ号(ヨット)、チャレンジャー号(調査船)、グロワール(鉄甲艦)、モニター(鉄甲艦)、カティーサーク号(クリッパー)、フラム号(スクーナー)、スプレー号(帆船)、オレゴン(戦艦)、ホランド号(潜水艦)、ポチョムキン(戦艦)、ドレッドノート(戦艦)、ルシタニア号(定期船)、タイタニック号(定期船)、U-21(潜水艦)、ノルマンディー号(定期船)、ビスマルク(戦艦)、イラストリアス(空母)、パトリック・ヘンリー号(リバティー船)、大和(戦艦)、カリプソ号(調査船)、ミズーリ(戦艦)、コンティキ号(いかだ舟)、アイデアルX号(コンテナ船)、ノーティラス号(原潜)、虹の戦士号(NGO活動船)、レーニン号(原子力砕氷船)、トリー・キャニオン号(タンカー)、エンタープライズ(原子力空母)、アルヴィン号(深海潜水艇)、グローマー・エクスプローラー号(堀削船)、アリュール・オヴ・ザ・シーズ号(クルーズ船)