『ドラッカー 365の金言』2005/12/2
P.F.ドラッカー (著), 上田 惇生 (著)

世界最高の経営思想家といわれるドラッカーさんの洞察力に富んだ言葉の数々を、1日1ページ、1年365(366)日で構成した金言集です。
例えば1月1日のページでは、ページの上部に「リーダーの真摯さ(組織の精神はトップから生まれる)」とあり、中央にはドラッカーさんの著作(1月1日の場合は『マネジメント』)から、それに関連する記事が掲載され、ページ下部にはACTION POINTとして「ヘッドハンティングされたならば、先方のトップの人となりを見てください。仕事は真摯な人たちとしてください」のような勧告が書いてあります。このACTION POINTは、そのページから得られる教訓を具体的な行動として実践するときに、すごく参考になると思いました(たまにピントがずれているようなものもありましたが……)。
2月29日も含め、366日分の金言を読むことが出来るので、一気に全部を読んでしまっても構いませんが、毎日1ページだけを日めくりカレンダーのように読み、自分の仕事にこのACTION POINTを適用するとしたら、どうすればいいのかを考えると、仕事を新しい角度から眺め直すことが出来て、改善へのヒントが得られるのではないかと思います。
また、もしもその日の記事が、自分の仕事とは無関係と思える金言だったとしても、毎日読んでいくうちに、ドラッカーさんのものの考え方がだんだん理解できるようになり、彼のように考える力が身についていくのではないでしょうか。
ドラッカーさんは85歳でも、常に何かを学ぼうとしていたそうです。この金言の一つ一つが彼の経験に裏打ちされているからこそ、いつでも読者にインスピレーションやアドバイスを与える力があるのでしょう。
なかには「間違った問題提起への正しい答えほど修正の難しいものはない(10月10日)」のように、少し分かりにくい教訓もありましたが(汗)、だからこそ自分の頭をしっかり絞って考えさせられてしまうような気もします。これは次の10月11日の「すべてを包含しなければ正しい問題提起とはいえない(=そもそも何についての問題か、何が問題か、何が大事かを考えることである)」とセットにして考えることで、「問題をあらゆる角度から眺めて、事実と照らし合わせることで、問題提起&解決をしていくべきなのだ」と納得することができました。気になる文章に出会って、もっと詳しく知りたいと感じた時には、その記事の元ネタの本を読むと、いっそう理解を深められるのではないかと思います。
ドラッカーさんの著作から、教えの真髄となるものを選び抜いたという宝石箱のような金言集です。じっくり読んでみてください☆