『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』2016/6/1
中島聡 (著)

世界を一変させたWindows95の設計思想を生み出した伝説の日本人・中島さんが教えてくれる「人生を制するスピード仕事術」です。
著者の中島さんは、パソコンの「ドラッグ&ドロップ」や「ダブルクリック」などを現在の形にしたことで知られる元マイクロソフトの伝説のプログラマーだそうです。この本では、アメリカの大企業(マイクロソフト)でOS開発に従事した中島さんの「時間節約仕事術」が参考になるのはもちろんですが、Windows95などの開発秘話や、アメリカの会社で働いた時の経験談など、興味深い逸話も満載☆ 特にIT技術者の方には、色々な意味ですごく参考になると思います☆
さて、この本の冒頭の「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」の3つの理由、1)安請け合いしてしまう、2)ぎりぎりまでやらない、3)計画の見積もりをしない……に思わず「そうなんだよなー……」と思ってしまったのは私だけではないと思います(汗)。特にIT業界では新技術を使っての開発も多くて「仕事の完成までの期間」の見積もりが困難だという事情もあるので、どうしても計画の見積もりが難しいと思います。
でもそんなIT業界の中心にいた中島さんは、「一度も納期に遅れたことがない男」として活躍していたとか! その秘密が、「期限までの日数の2割で、仕事の8割を終えて後は流す」という仕事術にあったと知って、「ああ!」と驚きとともに納得できるものを感じました。
実は中島さんは英語がさほど得意でもなかったのに、OS開発をしたくてアメリカのマイクロソフトで働き始めた時、上司に「何か考えてることがあるなら、プロトタイプを作ってみたら」と言われたそうです。そしてそのプロトタイプをもとにプレゼンをすることになったら大成功……この経験で中島さんは、「まずプロトタイプを作る」というやり方で仕事をすることの効果を確信したようです。早めにプロトタイプを作ると、フィードバックを早く得られるので手戻りも減らせます。
そして「期限までの日数の2割で、仕事の8割を終えて後は流す」というのは、例えば全体で10日間の仕事の場合、最初の2日はとにかく猛烈に仕事をして、目的とするものの8割ができるかどうかを試すそうです。そしてこの時点で8割が完成できないなら、納期を遅らせてもらう必要があるとか。この2日間のことを中島さんは、「ロケットスタート」と呼んでいます。
でも……最初の2日で全体の8割も出来るなら、普通はあと数日で完成させてしまう(あるいは「させられる」)と思いませんか? でも中島さんは、それは避けた方が良いと言います。なぜなら「猛烈な仕事は長続きしないから」。ずっと全力で仕事をしていると、かえって能率が下がるそうです。それで「後は流す」のだとか……確かにそうですよね。
この本を読んで、最初は、「ロケットスタート」なんてやってしまうと結局は「仕事が出来る奴」と見なされて無理難題をどんどん押し付けられることになるのでは……と危惧してしまいましたが、よく考えてみると、「自分は無理せずに納期を守ることが出来るようになる」「上司は安心して仕事を任せられる」という素晴らしい仕事術だと思えるようになりました。ただし上司には「2日間で全体の8割を作ってしまった」ことをそのまま報告しない方がいいと思いますが……(汗)。
この仕事術は、特に、創造的な仕事をしている技術者や芸術家の方に、すごく参考になる点が多いのではないかと思います。
その他にも、「すべての仕事は必ずやり直しになる」とか「長期の仕事をかかえている人は、仕事を縦に切れ(仕事を10日程度の小さい仕事に切り分ける)」とか「相手が仕事を終わらせないことと、あなたの仕事が進められないことは、厳密に考えると別の問題です」など、さまざまな有益なアドバイスも満載です。ぜひ一度、読んでみてください☆