『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者』2007/1
レイ・A. クロック (著), ロバート アンダーソン (著), Ray Albert Kroc (原著), & 5 その他

世界一、億万長者を生んだ男と言われるマクドナルド創業者のレイ・クロックさんの自伝です。
付録として、クロックさんに影響を受けた、日本を代表する二人の経営者、ソフトバンクの孫さんとユニクロの柳井さんの対談(付録1)と、柳井さんによる「レイ・クロックの金言」(付録2)が巻末に掲載されています。この「レイ・クロックの金言」には、レイ・クロックさんの経営哲学の真髄が、柳井さんご自身の経験とともに7つの法則として簡潔にまとめてありますので、この部分を読むだけでもとても価値があると思います。また対談(付録1)もとても興味深い内容で、とくに孫さんの「民主社会にはメディアという社会的システムがある」という言葉や、他の人の意見を真摯に聞こうとする態度に感銘を受けました。本当に器の大きい方のようです。
さて、本文のレイ・クロックさんの自伝についてですが、実はこの本を読むまで、お名前を知りませんでした(汗)。マクドナルドというのは、当然「マクドナルドさん」が始めたものだと思っていたからです。実際には、「マクドナルド兄弟」が行っていたハンバーガー店のやり方に感銘を受けたクロックさんが、それをもとに全世界にフランチャイズ展開していったものだったそうです。
驚いたのが、最初の出会いの1954年、クロックさんはなんと52歳。ミルクセーキ用のミキサーの敏腕セールスマンをしていました。商売柄、いろんなレストランを見てきたクロックさんは、マクドナルド兄弟の清潔な店内、シンプルなメニュー構成、標準化された調理手順、セルフサービスによる効率化などに感心して、チェーン化したいという望みを抱きます。でも当時の彼には、資金もなく健康にも問題を抱え家族の強力も得られず……苦難の連続でしたが、ご存じの通り、最後には、自身が億万長者になるだけでなく、協力者たちも豊かにするという大成功を成し遂げました。
ところでこの本のタイトル『成功はゴミ箱の中に』は、なんと「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。知りたいものは全部転がっている」という話からきています。クロックさんは、「深夜二時に競争相手のゴミ箱を漁って、前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したのか調べたことは一度や二度ではない」のだとか。そして「私は競争相手と正々堂々と戦う。強みを鍛え、品質、サービス、清潔さ、そして付加価値に力を入れれば、我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう」と言います。なるほど……確かに「彼を知り己を知れば 百戦あやうからず」ですよね。
成功の秘訣は「やり遂げる」ことにあるとクロックさんは断言します。
「やり遂げろ……この世界で継続ほど価値のあるものはない。」
「信念と継続だけが全能である。」
この本には、世界的チェーンとなったマクドナルドの成長過程が、失敗も成功も率直に描かれています。もともと資金力も法務知識もあまり豊富ではなく、手探りでフランチャイズ・システムを構築していったわけですから、契約問題などさまざまな問題が次々に発生し、苦しみながら解決していった様子を知ることもできるので、会社を経営している方には特に参考(励み)になると思います。苦しかった時期に学んだという「問題に押し潰されない方法」もすごく参考になりました。それは、「一度に一つのことしか悩まず、問題をずるずる引きずらない」こと。そして「毎晩眠りに就く前に、独自に開発した自己催眠法を行った」のだそうです。
本書の最後で、クロックさんは言います。
「幸せを手に入れるためには、失敗やリスクを超えていかなければならない。床の上に置かれたロープの上を渡っても、それでは決して得られない。リスクのないところには成功はなく、したがって幸福もないのだ。我々が進歩するためには、個人でもチームでも、パイオニア精神で前進するしかない。企業システムの中にあるリスクを取らなければならない。これが経済的自由への唯一の道だ。ほかに道はない。」