『〈図解〉行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術』2012/4/25
石田淳 (著)
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「教える技術」を教えてくれる本です。
「行動科学」を使えば、「教え手」側の素質を問わず、誰でも「上手く教える」ことが出来るというのです。
行動科学マネジメントとは、人間の行動を分析し、データに基づいた科学的なマネジメント手法で、NASA、ボーイングなど600社以上が導入し、アメリカのビジネス界で絶大な成果を上げているそうです。
この本で教えてくれる「教える技術」も、行動に注目しそれを分析することに特徴があります。巻頭インタビューで石田さんが言うように、「具体的な行動におとせば誰でもマスターできる」のです。例えば社長が「うちの社員はちゃんとした挨拶ができていない」と不満を抱いている時に、社員に「ちゃんとした挨拶をしなさい」と言うだけでは効果がなく、どんな挨拶が「ちゃんとした挨拶」なのかを具体的に教えるべきだという話には、すごく納得できました。「大きな声で」とだけ指導していたら、むっとした顔で怒鳴るように言ったって「ちゃんとした挨拶」になっているはずですよね(笑)。「口角をあげてほほえむこと」「体の正面を相手に向けること」など具体的な行動として教えられなければ、社長が心に抱いている「ちゃんとした挨拶」のイメージを掴むことは困難なのではないでしょうか。
また「人は達成感を与えていかないと、絶対に成長しない」ので、学ぶ側に「達成感を感じさせること」が大切だと言う話にも共感しました。この4ページの巻頭インタビューを読むだけでも、「教える技術」に大切なことが何かを知ることが出来ると思います。
この本では、これを基本的心構えとして、さまざまな場面での具体的な教え方も解説してくれます。企業での実例やインタビュー記事も参考になりました。
ところで「あまり具体的に教え過ぎると、本人の「考える力」が育たなくなるのではないか」という批判もあります。これに対して石田さんは、「仕事の基本的な手順を教えずに、「自分で考えろ!」と言い放つような指導は、まだ四則演算を習得していない子供に、方程式を使って解く問題を渡して「自分で考えなさい」と命ずるようなもの。(中略)まずは基本的な仕事のすすめ方をしっかりと教えて実績を積ませること。それによって「自主的に動く」「自分で考える」ための土台と自信ができていくので、まずは土台づくりにパワーを注ぎましょう」と答えています。……本当に、その通りだと思います。
この本の技術を使えば、誰でも本当に「上手く教える」ことが出来るようになると思います。ただ……「具体的に教える」ためには、教える内容を、教え手が完璧に理解している必要があるので、簡単なことではないとも感じました。
個人的には「教える」ことは、楽しいことだと思っています。それは教える相手だけでなく、自分にとっても大きなメリットがあるからです。なぜなら「教える」ためには、教える内容をよく理解しなければならないので、自分の知識の整理・深化に役に立ちます。そして教えた相手が成長してくれれば、自分の仕事が楽になる可能性もあります。さらに「教えてもらった」ことに感謝され、相手からの信頼を得ることも出来るのです。こんな素敵な機会を活かさない手はないと思います(笑)。
「教える」技術をしっかり身につけ、「楽」な人生を送ることができる……といいな、と思います(笑)。