『海外に飛び出す前に知っておきたかったこと』2016/5/14
小林 慎和 (著)
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失敗と成功を繰り返して海外で起業・会社経営をしてきた著者の小林さん自身が、「もっと早く、海外に飛び出す前にこれを知っておきたかった」ことを教えてくれる本です。
小林さんは三児の父親で、海外でいくつかの会社を経営しています。これまで生活してきた海外の街は、ニューヨーク、シンガポール、そしてクアラルンプールの3都市。初めての起業を、日本ではなく、いきなり海外のシンガポールでしたそうです。そういう自らの経験を通して学び・感じたことを、この本で紹介してくれています。小林さん個人の経験談が多いので、「海外に飛び出す前に準備しておきたい完全マニュアル」というほどの内容ではありませんが(汗)、すごく実践的で、現実に役立つ情報が多いと思いました。
特に参考になったのが、「第4章 海外に飛び出す前に知っておきたかった交渉の流儀」。小林さんには大学生の時にアジアをバックパッカーで旅した経験や、野村総合研究所でコンサルタントをした時に海外のプロジェクトを手掛けた経験があり、その後、海外で起業されているのですが、その経験を通しての失敗談や成功談を紹介してくれるのです。
「ベトナムでは財務諸表などは基本的に粉飾されています。(中略)もはや何が真実かわからなくなることも多々あります。」とか、「(シンガポールでは)創業1年で4、5回は(訴えられることが)あります。ほとんどが中国からの攻撃です。よくあるのは、著作権違反やブランド毀損などの言いがかりです。」という話には、ヒヤリとさせられました。これらの問題に、当然、英語など日本語以外の言語で対応しなければならないんですよね……。
それでも今後、どこで生きていくにしてもグローバル化は避けられるはずもないので、海外に飛び出さずに日本に居残っていても、英語などの外国語でも仕事ができるようになるべきなのでしょう。
小林さんは「第2章 やっぱり気になる英語、活きた英語をどう身につけるか」で、完璧な英語を話そうとするより、使える英語を話そうと言っています。「ビジネス英語を先に身につけよう」と。この考えにはすごく共感しました。
ところで、私は最近、和製英語や日本語的な英語の発音がすごく気になっています。これらが日本人の英語力を弱めているような気がしてなりません。例えば、「サラリーマン」という英単語は存在せず、本来は「オフィス・ワーカー」だとか、「プロジェクト」も本来の英語発音だと、むしろ「プラジェクト」に近いとか……。和製英語や日本的な英語の発音は本来必要のない知識だというだけでなく、これがあるせいで語学力の上達をむしろ阻害している気がしてなりません。これらは是正すべきではないでしょうか。
とは言いつつも、実は以前は自分でも、海外で仕事をしている人が「日本的発音」ではなく「ネイティブ的発音」で「プラジェクト」とか言っているのを聞いた時には、内心、(チェっ、スカしやがって)と思わないでもなかったのですが……(汗)。今後は心を入れ替えたいと思います(汗、汗)。
それでも「日本的発音」を「ネイティブ的発音」に切り替えるのに、まだ心理的抵抗があることも事実なんですよね。そこで、今後は、ぜひとも学校教育で「ネイティブ的発音」を奨励していただくとか、TVやラジオなどの公共放送で英語や中国語などの単語が出て来る時には、それらの「ネイティブ的発音」で発声していただくとか、日本全体で、和製英語の駆逐や、ネイティブ的発音の奨励キャンペーンを実施して欲しいなあと思っています。東京オリンピックが、そのいい機会になるのではないでしょうか。
……ちょっと横道にそれてしまいました(汗)。
えー、さて、今後の日本人(特に子どもたち)は、いままで以上に海外との仕事・競争への対応を迫られることになるでしょう。この本は、海外で働きたい人だけでなく、すべての日本人に参考になると思います。