『やるっきゃない! 俺たち県庁防災対策部』2016/7/16
稲垣 司 (著)
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平成28年3月まで三重県防災対策部に在籍した著者の稲垣さんが、東日本大震災への被災地支援、紀伊半島大水害への災害対応、伊勢志摩サミットへの防災・危機対策などに、部のリーダーとして采配を振るい、防災対策を実践してきた実録記です。
三重県は、伊勢湾台風など風水害だけでなく、南海トラフ巨大地震の襲来が懸念される、いわば災害のメッカともいえる地域です。そのため県の防災対策は、他府県も一目を置く非常に緻密なものとなっているのだとか。特に風水害に関しては、日本でも雨量の多い地帯だけに、さまざまな苦労があるようです。
この本で稲垣さんは、県庁防災対策部を率いてきた立場から、災害への対応の現実と今後のあり方を熱く語っています。東日本大震災への被災地支援や紀伊半島大水害での災害対応で見聞きした悲惨な実態、災害から復旧させるだけでなく、今後の災害を最小限にくいとめるための防災対策の計画などについての現実を知ることが出来ます。
とくに参考になったのは、「第5章 やるっきゃない!―「自助」の取組」で、防災を日常化することが大切だということ。すなわち、一人一人の防災意識が高まり、防災減災に向けた取り組みが、通常の事業活動や行政運営のベースに位置付けられ、自主的持続的活動として定着し、さらに次世代へと引き継がれていくことなのですが、それは現実には、新築する家の設計をする時に、風呂やトイレと同じような感覚で、備蓄スペースも当たり前に書き込まれるようなことだそうです。……なるほど、メモメモ。
三重県では「みえ防災コーディネーター育成講座」という人材育成活動や、実践的な防災訓練を行っているそうですが、素晴らしい活動なので今後も続けて欲しいと思います。
特に防災訓練などは、毎回、何か問題点を見つけ出すという姿勢で行うべきではないかと思います。例えば、県民ボランティアに参加してもらい、何も知らない素人に防災作業を手伝ってもらうことで、大災害時に参集してくれるボランティアさんが働きやすい環境が整っているかを、チェックするなどしたら良いのではないかと思います。備蓄倉庫は、誰でもすぐに何がどこにあるか分かるようになっているか、とか、災害時に何をどう手伝ってもらうかが明確になっているかなど、細かい問題点を改善できるのではないでしょうか。
また防災や減災活動に、子どもたちの力を活かすことも大切だと思います。夏休み前には、学校の近所の白地図(防災ハザードマップの情報入り)を配布して、近所の危険な箇所や各家庭でどのように避難するかを記入させるなどの活動を、自由研究のテーマの一つとしてはいかがでしょうか。研究テーマにそれを選ばなかった子も、友人の発表を見聞きすることで防災意識を高められると思いますし、一石二鳥のような気がします(笑)。
地震や災害はいつ発生するか分かりません。たまにこういう本を読むと、お気楽気分を(少なくとも瞬間的には、)ひきしめることが出来ると思います(汗)