『道』2003/6/21
ルイス・サッカー (著), Louis Sachar (原著), 幸田 敦子 (翻訳)
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あの情けなくて面白くて感動的だった『穴HOLES』の主人公の少年スタンリーが、ユーモアたっぷりに人生の生き抜き方(サバイバル)を教えてくれる本です。
『穴HOLES』を読んでいなくても、冒頭の「この本を手にしてくださるみなさまへ」で、訳者が『穴HOLES』の概要とこの本との関係を教えてくれるので、十分、この本を理解し楽しめるとは思いますが、もちろん『穴HOLES』を読んでいた方が、ずっと楽しめます。なにしろ『穴HOLES』で出てきた不良少年たちの裏事情や、その後の情報がたくさん出て来るので。この本は『穴HOLES』の続編あるいはサイドブックのような位置づけの本です。
また、この本には、特にストーリーはありません。どちらかというと、少年向けの自己啓発書(笑)みたいな感じでしょうか。そう、もしかしたら松下幸之助さんの『道を開く』に近いかもしれません(笑)。……考えてみたら、高校生のスタンリー少年もかなりの艱難辛苦を乗り越えていますので、「人生」を語る資格はあるのかも(笑)。
自己啓発書といっても、なにしろ語り手は「あの」スタンリーですから、きれいごとはいっさい抜きで、ユーモアはたっぷり。だから難しい顔をする必要はなく、笑いながら読み進められるのですが……いつの間にか、なんか、ちょっと「ためになる話」聞かせてもらったなあ、という気がしてくるのが不思議です。
この『道』は、スタンリーがあの過酷なキャンプ暮らしを振り返りながら、「いばらの道の踏み越え方」を、ぶっちゃけてくれる本です。それもまるで友達に話をするみたいな語り口で。だから人生に迷って途方に暮れている若者なら、きっと何らかの指針を見出すことが出来るだろうと思います。
この本で紹介されるのは、過酷な砂漠のキャンプでスタンリーが出会った少年たちや大人たちの姿。そしてそれは、これから私たちが出会う少年や大人たちとは違いますが、「この本で学ぶ、いかに生きのびるかの知恵やコツはそっくり役にたつはず」だそうです。「名前はめいめい違っても、人の本質は、たいして変わらないからね。」……なるほど、その通りだ……。
最後に、すごくスタンリーらしい、素敵な「しめ」の言葉を紹介させていただきます。
「ぼくはぐちはこぼさない。立ち入って人にやたらと質問しない。「これだっ!」て思える道を、自分で探す、自分で選ぶ。そしていまも、まんまるの完璧な穴を掘ってやろうと、いつだって挑戦している。」