『頭がよくなるユダヤ人ジョーク集』2008/2/14
烏賀陽 正弘 (著)
秀逸なユダヤ人ジョークと、ユダヤ文化にふれることが出来る本です。
ユダヤ人は約二千年前にパレスチナの地を追われてから、世界各地に四散し、迫害を受けてきました。その苦悩や屈辱感を少しでも和らげる手段として、ジョークが盛んに使われてきました。「ユダヤ文化は、すなわちジョーク作りの文化だ」とさえ言われているそうです。
この本は第1章の「なぜユダヤ人ジョークは面白いのか」を皮切りに、「人生と家庭」、「お金とビジネス」、「宗教と日常生活」などの切り口で、ユダヤ人ジョークと、その背景となる文化を紹介してくれます。
ジョークの一例をあげると、次のような感じです(あるユダヤ人親子の会話)。
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モスコビッチは、遠く離れた父親の誕生日に立派な裏つきのコートを贈ったところ、早速、父から電話がかかってきた。
父「素敵なものを贈ってくれてありがとう。親孝行だね」。
息子「お父さん、気に入った?」。
父「とても気に入ったよ。それはそうと、高かっただろう?」。
息子「いや、卸で買ったから安かった。九〇ドルだったよ」。
一週間後、父親から一通の手紙が届いて、こう書いてあった。「息子よ。あのコートを六着送ってくれ。もらったコートを三五〇ドルで売ったからね」
……本当に素敵な誕生日プレゼントだったようです☆
知的なジョークで有名なユダヤ人たちですが、その根底には深い悩みがあるそうです。兄の病気で悩み、祈祷を聖職者にお願いした人に、聖職者が投げかけた言葉は、意外にも、「もっと悩みがありますように!」でした。そのわけは、「一つの悩みだけにこだわると、それにすっかり心を奪われ、問題をますます深刻化させてしまう。いろんな悩みを心に抱えているほうが、気分が分散していいからだ」とか!
……とても含蓄がある言葉で、心に深く刻まれました。さすがに逆境の中でも、財界から学者、医師、弁護士まで、あらゆる世界で台頭しているユダヤ人は違いますね……。
最後に、本書の中でもう一つ、心に残ったユダヤの諺を紹介させていただきます。
「飛び越えられないのなら、下に潜れ」