『いたずら妖精ゴブリンの仲間たち』2001/8/1
ブライアン フラウド (著), テリー ジョーンズ (著), Brian Froud (原著), & 2 その他
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いたずら好きで邪悪な精霊ゴブリンの仲間たちを、妖精絵画の巨匠フラウドさんが、ゴブリン界のしきたりや食べ物、武器等とともにユーモラスに描き出した本です。……が、本当の英国の伝説のゴブリンの図鑑とは思わない方が良いようです(汗)。というのも、この本の著者の一人、テリー ジョーンズさんは、辛口コメディ「モンティ・パイソン」の制作・出演者の一人ですし、「まえがき」を読むと、(この本は、どこまで信用してよいのか……?)と疑いを持つこと必定で、「訳者あとがき」にも、そのようなことが書いてあります(笑)。ですので、この本は、描画参考資料や児童文学などではなく、ユーモア関連の書物として紹介させていただきます(でも、「伝統的」キャラクターといっても、伝説の出典自体、そんな信用あるものでもないから、そんなカタいこと言わなくてもいいのかも)。
さて、インパクトのあるイラスト表紙のこの本を書店で見かけて、ふと手にとり、「まえがき」を読み始めたら……あまりの面白さに、そのままレジに直行することになりました(笑)。
この「まえがき」は、ゴブリンに関する考古学史上重要な資料を、偶然発見した学者たちの話なのですが……発見の経緯から、暗号の解読(?)から、研究の様子まで、とにかく「うさんくささ」がぷんぷんする面白さで、イギリスっぽい知的ユーモアの真髄を見せつけられたような気持。これまで読んだユーモアのなかで最上のものの一つです。
例えば、この「まえがき」には、ゴブリンの考古学史上重要な資料発見の手掛かりとなった、つぼの最初の発見の日時と再発見の日時に、10年ほどの不一致があるそうですが、「地質学においては数百万年以内の誤差は珍しいことではなく、たかだか10年の誤差など言いがかりにすぎない」……なんて、しれっと書いてあるのです(笑)。
……これに対して、実際の古文書の内容(本文)の方は、実は、あまりたいしたことない(ごほん、ごほん)……あ、いえ、本文にも面白い逸話はたくさんあるのですが、まえがきがあまりにも凄すぎるので霞んでしまうというか……えーと、まあ、民話というのは、えてしてそういうものですよね。まして学者によって収録された伝承などというのは……(汗)。
あー、えーっと……。いやいや、本文の方は、イラストのパワーがもの凄いです! 妖精絵画の巨匠フラウドさんの絵なのですが、この奇怪なユーモラスっぷりが半端なく、ゴブリンのタイプのバラエティも豊富で、どこからこんな発想が?とお聞きしたいぐらいです。
もし図書館や書店でこの本を見かけたら、ぜひ手に取ってください。そして「まえがき」とイラストのパワーの凄さを、ご自分の目でお確かめ、ご堪能ください☆