『IoTで激変するクルマの未来』2016/2/10
桃田 健史 (著)
1605020026AP01N
コネクテッドカー、自動運転、車載OS、ライドシェア、地図データ……IoT化が急速に進むなか、自動車業界はいま、100年に一度の転換期の真っ只中にあります。グーグル、アップルというIT産業の巨人が、未来の車の標準化の覇権争いのトップを切ろうとしているのです。自動車産業や、日本の自動車メーカーの今後はどうなっていくのか……世界各国の関連企業の取材をもとに、「クルマのIoT化」の最前線について紹介してくれる本です。
さて、いきなり「コネクテッドカー」という聞きなれない(?)言葉を使ってしまいましたが、これは未来のクルマを考える上で避けては通れない言葉のようです。
「コネクテッドカーという言葉は、一般的には通信機能を使って「外の世界」とつながるクルマを指す。そして、この「つながる」は大きく二つの領域に分かれている。一つはクルマの走行に対する影響が大きいモノ(代表例:高度道路交通システムITS(自動料金徴収ETC、交通情報のVICS、車間距離制御ACCなど))。もう一つの分野は、インフォテインメントに関するモノ(代表例:情報と娯楽の融合。音楽、映像、SNSサービスなど)。」……だそうです。
そして完全自動運転のグーグルカーなどで知られるように、スマホと車載器の連携をきっかけとして、グーグルやアップルなどのIT企業が自動車産業へ本格参入してきています。その狙いとして、例えばグーグルの場合は、車を大きな通信端末として(?)、地球上のすべての人の動静(ビッグデータ)を把握しようとしているんだとか(!)。
これに対して日本のトヨタは、T-Connect(対話型インタフェース、ビッグデータに基づく先読み情報サービス、スマホと車載器の連携の利便性など)で、グーグルに真っ向勝負を挑んでいるそうです。クルマがグーグルなどのIT企業によってデータ収集のための機械となってしまうこと、自動車産業がIT産業の下請けにされてしまうことなどを危険視して、トヨタは、グーグルなどとは違う路線を歩もうとしているようですが、ひとつ間違うと、ガラパゴス化に陥る危険性もあるのではと感じてしまいました(汗)。それでも日本の(世界の)トヨタには頑張って欲しいと思います。
さて、ずーっと未来のことのように考えていた「夢の完全自動運転車」は、今や複数の会社が試作車を走らせるまでに至っているようです。グーグルやトヨタだけでなく、アウディなども開発しているようで、著者の桃田さんが実際に体験したアウディの「ロビー」の自動運転と人間の運転との対決(タイムアタック)などの記事もとても興味深かったです。
そして「コンピュータシステム」が運転の補助をしてくれる自動車は、すでに公道上を走っています。こうなると気になってくるのが、ハッキングやシステム異常による自動車の暴走ですが、これについても、気になる事件が紹介されていました。二人のIT技術者が、ジープ「チェロキー」をハッキングして、数キロはなれた屋内からパソコン操作してブレーキが効かない状態に陥らせ、最終的にはカーブを曲がり切れず道路脇に飛び出させてしまったそうです。……背筋が凍りました。PCの暴走とは違って、自動車は「事故死」や「殺人」に直接結びついてしまいますから……。
それでも個人的には、完全自動運転車にはすごく期待しています。今後の高齢化社会を考えてみても、高齢者ドライバーより人工知能の方が信頼できそうな気がします(汗)。しかも全部の車が完全自動運転車になれば、今より事故が激減するような気もします(笑)。
おそらく今後は、完全自動運転車が主流になるのでしょう。そしてそれはかなり金額が高くなりそうなので、レンタカー・ビジネスも盛んに利用されるようになるのではないでしょうか。なにしろ今後はPCと同じように、車も運転する前に「車のシステムの更新(アップデート)」をする必要が発生するでしょうし、その手間が面倒だと感じる人も増えそうですから(笑)。自宅のガレージにも、充電用の電源とインターネットのケーブル(無線?)が標準装備されることになるのでしょうか……。
激変が予想される自動車産業の今後を考える上で、とても参考になる本だと思います。ぜひ一度、読んでみてください。