『フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』2016/2/8
マーク・グッドマン (著), 松浦俊輔 (翻訳)
1605020028AP01N
オンライン口座から資産が奪われ、ドローンが危険ドラッグを宅配し、自動小銃が3Dプリンターで作られる……ネット犯罪の権威が描く犯罪の新時代の幕開けとその対処法、サイバー犯罪からの完全防衛マニュアルです。
この本の冒頭では、『ワイアード』誌の記者のマット・ホーナンさんのiPhone、iPad、MacBookが次々と使えなくなり、グーグルのメールや記録が消去され、さらにはツイッターのアカウントが乗っ取られていくという実例が紹介されます。ホーナンさんのiCloudのアカウントに、どこかのハッカーがアクセスして、アップルの便利な「iPhoneを探す」機能を使って、ホーナンが管理するすべてのアクセスを特定したのだそうですが……便利な機能に潜んでいる危険性の怖ろしさを、まざまざと感じさせられました。
かつての銀行強盗は、銀行から重い札束を抱えて逃げなければなりませんでしたが、現在のインターネット銀行強盗は、口座をハッキングして大金を引き出し、世界中の共犯者と協力して、あっという間に多額の現金を、フィンランドや合衆国などの世界中の口座に送金することが出来ます。便利な世の中になったものですね(汗)……いや、冗談ではなく、「テクノロジーは犯罪の現場で最も速く実用化される」のだそうです。
しかも「防御側はすべての侵入者を入れないために完全な壁を作らなければならないが、攻撃側は突破する装甲の穴を一つ見つけて攻撃すればよい。」のです。本当にやっかいですね(ため息)。それでも、もはやインターネットのない社会なんて考えられないので、今後は、国などの行政や、企業、学校などでもサイバー対策&教育にもっと力を入れて欲しいと思います。
また最近はIotばやりで、さまざまな機器が「スマートに(賢く)」なって、不在中でも勝手に部屋を掃除してくれる掃除機、持ち主の好みに合わせて自動でTV番組を録画してくれるレコーダー、在庫がなくなったら自動発注してくれる冷蔵庫など、便利な家電が続々と計画・生産されているようですが、この本の中の「犯罪が疑われる現場では、警官が冷蔵庫を尋問して、「何か見ませんでしたか」に相当するようなことを尋ねる」という記述を読んで……思わず爆笑してしまいました。……が、考えてみると、これも笑いごとではない!
なぜなら、この本では他にも、「2013年、ロシアでは、関税の係員が、電子式湯沸かし器やアイロンなど、中国製の一連の消費者用商品が、ロシア当局が喜ばない修正をして届くことに気づいた。装置には隠れた超小型ワイファイカードが入っていて、200m以内に解放されたインターネットのネットワークがあれば、そこにマルウェアを広めることができ、「家に電話」して、秘密のメッセージを中国に中継することができた。」というようなスパイもどきの家電を紹介しているのです。しかもそれだけでなく、自動で点灯してくれる便利な電球型照明器具のような小さいものにすら、ワイファイ・ルータのパスワードを漏らす機能が組み込まれていることがあるとか……。
そして身近なところでは、「2002年以来、コピー機にはほとんどすべて、コピーあるいはスキャンされた書類すべてを保存するハードディスクが内臓されている」……コンビニでうっかり重要書類をコピーすると、危険なのかもしれません……。
読んでいるうちに、便利に使っているテクノロジーが、悪霊みたいに怖くなってくる本です(汗)、が……それでも、ネットやスマホ、カーナビのない生活なんて、もう考えられません!
そこで最後に、この本が「付録」で教えてくれる「テクノロジーによる危険から身を守るために、日常的に実践できるコツ」を紹介させていただきます。『サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』と言い切るほど「完全防衛」ではないような気もします(汗)が、それほど面倒でもないので、すごく実践的な対策だと思います。これに従えば、デジタル脅威の85%は避けられるのだとか(2016現在)。
・アップデートを頻繁に行う
・パスワードは長くすべき(20文字以上を考えよう)
・ダウンロードは公式サイトからすること
・管理者アカウントは注意して使う(日常作業用には標準のユーザーアカウントを使う)
・使わないときは電源を切る
・デジタル生活を暗号化する(ハードドライブをまるごと暗号化するなど)

この他に、さらに細かい対策として、「メールの常識を疑う」「データは頻繁にバックアップ」「カメラを使わない時は付箋などでレンズを覆っておく」など色々な対策も教えてもらえます。
サイバー犯罪を完全に防ぎきるという自信はありませんが(汗)、自分に出来る対策だけは、可能な限り実施していきたいと思っています。
とても参考になる本でした。ぜひ読んでみてください。