『ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則』
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)
ベストセラー『ビジョナリーカンパニー』のコリンズさんが、その7年後(2001)年に書き下ろした、飛躍企業11社の成功の秘密を分析した本です。
この本は、著者のコリンズさんがマッキンゼーの人から、「『ビジョナリー・カンパニー』は素晴らしい本だが、それらの会社は初めから偉大な企業だったので、役に立たない」と指摘されたことから、「良い企業は偉大な企業になれるのか。そしてどうすればなれるのか」という疑問を抱いたことが基礎になっているそうです。
つまりこの本は、「普通の企業が偉大なビジョナリー・カンパニーになる道」について調べたもので、そういう意味では『ビジョナリーカンパニー』の前段階の話とも言えそうです。そのせいか、個人的には、この本の方が『ビジョナリーカンパニー』よりも参考になることが多いように感じました。
ごく普通の会社だったジレット、フィリップ・モリスなどの11社が、世界有数の経営者に率いられた超一流企業にも勝るめざましい業績をあげるまでに変身した経緯などを、それぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析した結果、飛躍したこれらの企業には、次のようないくつかの共通した特徴があったそうです。
1)飛躍を導いた経営者には、第五水準のリーダーシップがあった(派手さやカリスマ性とは縁遠い地味で謙虚な人物である一方、勝利への確信を持ち続ける不屈の意思を備えている)。
2)飛躍を導いた経営者は、最初に優秀な人材を選び、その後に経営目標を定める。
3)飛躍を導いた経営者は、自社が世界一になれる部分はどこか、経済的原動力は何か、そして情熱を持って取り組めるものは何かを深く考え、必要とあればそれまでの中核事業を切り捨てる判断さえ下す(厳しい現実を直視する)。
4)飛躍を導いた経営者は、結果的に劇的な転換にみえる改革を、社内に規律を重視した文化を築きながら、じっくりと時間をかけて実行する。
これらの特徴(飛躍の秘密)は、飛躍企業11社を綿密に調査した結果、明らかになってきたものなので、すごく説得力がありました。
このような大規模な調査に基づく企業分析は、なかなか出来るものではないので、企業経営に興味がある方は、この本も、ぜひ読んでみてください。