『道をひらく』
松下 幸之助 (著)
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9歳から丁稚奉公に出て、一代で松下グループを築き上げた「経営の神様」松下幸之助さんが、自分の体験と人生に対する深い洞察をもとに綴った短編随想集です。
1968年に初版が発行された「古典」的な自己啓発書ですが、読むたびに何か、時代を超えて生き続ける不変の真理のようなものを感じさせてくれます。
日本を代表する大企業の経営者であっただけでなく、高い理想を持って、その実現のために行動した松下さんが語る人生訓や仕事や経営の心得、さらに政治への提言は、今でもなお心に響くものがあります。
心に残る文章はすごくたくさんありますが、一例をあげれば次のようなもの。
「憂時に直面しても、これを恐れてはならない。しりごみしてはならない。「心配またよし」である。心配や憂いは新しくものを考えだす一つの転機ではないか、そう思い直して、正々堂々とこれと取り組む。力をしぼる。知恵をしぼる。するとそこから必ず、思いもかけぬ新しいものが生み出されてくるのである。新しい道がひらけてくるのである。」
……困ったことに遭遇してしまったら、「心配またよし」と心の中で呟いて、自分を鼓舞したいと思いました。
この本には、「自信を失ったときに」「困難にぶつかったときに」「運命を切りひらくために」「仕事をより向上させるために」「事業をより よく伸ばすために」「みずから決断を下すときに」などのテーマ別に短編(アドバイス)がまとめてあるので、精神的に落ち込んだ時や、経営上の困難に悩んだ時には、これを読むことで、何かヒントが得られるのではないかと思います。
そして、しめくくりの項目は「日本よい国」。
「……春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。自然だけではない。風土だけではない。長い歴史に育まれた数多くの精神的遺産がある。その上に、天与のすぐれた国民的素質。勤勉にして誠実な国民性。
日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。だから、このよい国をさらによくして、みんなが仲良く、身も心もゆたかに暮らしたい。……」
日本と日本人への愛に満ちたこの本は、今もなお、日本人を正しい方向へと導いてくれているようです。
「判断と実行と」などの一つの項目が、見開き一ページの短文で綴られる短編集。机の近くの本棚に、いつも置いておきたくなる、バイブルのような本だと思います(実際に、本の形も小型のバイブルのような感じです)。