『21世紀の資本』
トマ・ピケティ (著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳), 森本正史 (翻訳)
1601040031AP01N
格差は長期的にはどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得格差と経済成長は、今後どうなるのか? などの疑問について、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かしていく本。本文だけで600ページを超えて、5500円+税という高価格の経済専門書にも関わらず、世界的ベストセラーになった凄い本です。
その真髄は、「r>g」という簡単な式で表現されます。
rは資本収益率、gは産出と所得の成長率で、すなわちこの式は、≪資本収益率が産出と所得の成長率を上回る≫ことを表していて、そのとき、≪資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す≫ことになるそうです。
経済の本というと、すごく難しそうな感じがしますが、この本にはあまり数式が出てこないので、気楽な気分でどんどん読み進めることができます(笑)。数式は出てきませんが、各国経済の歴史的推移のデータが、図表で数多く分かりやすく表示されるので、論旨に説得力を感じます。
また『ゴリオ爺さん(バルザック)』などの古典小説にでてくる生活や金銭感覚など、普通の経済学教科書には出てこないような話もあちこち挿入されてくるので、いっそう興味深く読むことが出来ると思います。
その他、経済学の教科書で習った「パレートの法則」が、本書の中では「安定理論を裏付ける証拠がまったく挙がっていない」と言われていて、スイスやイタリア、ドイツの数都市のたったの10年分の税率表を根拠にしていたようですが、「そんな(貧弱な)データでは、世界の格差の長期的動向についてのどんな結論だろうと、何の根拠にもなっていないのは明らかだ」と述べられていることにも驚きました。確かに……経済の「法則」って、意外に普遍的に使えるものが少ない感じで、経済学って……本当に実践的に役に立つのかな?と疑問に感じなくもなかったのですが(汗)……、そもそも根拠薄弱なものを教えられていたのかも……。まあ、社会(システム)もすごく変動するから、経済に適用できる「普遍的な法則」があるかもしれないと思うこと自体が、幻想なのかもしれませんが(汗)。
この本は四部構成になっていて、まず「はじめに」で全体の概要を説明した後、「第I部 所得と資本」で、国民所得、資本などの基本的概念の説明を、「第II部 資本/所得比率の動学」で、資本/所得比率の長期的推移の見通しと今後の検討を、「第III部 格差の構造」で、格差の規模や歴史的推移と今後の検討を、そして最後の「第IV部 21世紀の資本規制」では、第I部から第III部までから得られる規範的、政策的教訓を引き出しています。
そして格差拡大を防ぐための最適な解決策として、ピケティさんは、高度な国際協力と資本に関する情報開示を基礎とした累進資本税の導入などを提言します。
すごく長い本でしたが、経済学の基礎的な知識に関する解説もあるので、色々な意味でとても参考になりました。やり玉に挙げられている側(資本をたくさん保持している側)ではないので、(そうそう、その通り! お金持ちの課税逃れを、なんとかすべき!)という気持ちで気楽に読めたからかもしれません(汗)。
とても参考になる本でした。庶民のみなさん、ぜひ読んでみてください☆