『ドラゴンの眼』
スティーヴン キング (著), Stephen King (原著), 雨沢 泰 (翻訳)
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稀代のストーリー・テラー、ホラー小説で有名なスティーブン・キングさんが書いた唯一の子供向けファンタジーです☆
この本を児童書コーナーで見かけた時、え? あのキングさんが児童文学?と意外だったのは、『IT』、『ミザリー』など、他の著名な作品での情け容赦ないグロっぷり(しかも作者が楽しんで描写している感じがぷんぷんしてます)を知っているせいでしょう。
でも安心してください。この作品は意外なほど王道のファンタジーです。と、いうより「ド王道」、ドラゴンの心を持つ勇敢な王子ピーターと、強大な力を持つ邪悪な魔術師フラッグとの、正義と勇気をかけた闘いを描いた冒険ファンタジーなのですから☆ (もっとも物語の始まりには、ちょっぴりキング印の下品さも漂っていますが……汗)
と言っても、タイトルの『ドラゴンの眼』で想像するような、騎士のドラゴン退治物語のような冒険活劇ではありません。ドラゴンはすでに退治されていて、ドラゴンよりもっと性質の悪い老獪な魔術師と対決するファンタジーです。
物語の中に出てくる勇敢な少女ナオミは、キングさんの愛娘の名前と同じで、この物語は彼女に贈った物語なのです。この物語を読むと、キングさんの御嬢さんへの愛情がひしひしと感じられます。はらはらするストーリー展開の中に、友情や信念、努力や献身など気高い人間性が貫かれています。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
さて、物語は、「むかしむかし、デレインという名前の王国に、王様とふたりの息子がいました。」という、おとぎ話の常套句から始まります。
善良ながらも愚かな老王と若い王妃の間に出来た二人の王子は、ハンサムで賢い兄ピーターと不器用な弟トマス。幼い頃、母親の愛に満ちた教育の思い出がある兄に対し、母の死とともに生まれてきた弟には、母親の記憶はありません。兄に嫉妬を抱く弟は、魔術師に操られるまま、やがて兄に憎悪を募らせていくようになります。
そして父殺しの汚名をきせられ、兄は寒い塔の牢獄に幽閉され、弟は真実を目撃しながらも、王位を継がされてしまいます。弟を操ることで、王国の命運をほしいままにしようとする邪悪な魔術師。彼の毒で、王国はしだいに蝕まれていきます……。
デレイン王国に激しい雪嵐が吹き荒れた日、ついに正義と悪との対決が始まります。長い年月を耐えてきた王子の、手に汗にぎる運命の大脱出劇は、はたして成功するのでしょうか。