『エーミールと探偵たち』
エーリヒ・ケストナー (著)
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少年たちが大活躍する楽しい物語です。
エミール少年は、ベルリンのおばあちゃんをたずねる途中の列車で、うっかり寝てしまったために、ポケットからお金を盗られてしまいます。それは貧乏な彼のお母さんが、一生懸命働いてためた大事なお金だったのでした。それに気づいた少年は、泥棒の山高帽を追いかけます。
でも、どうやってお金を取り戻したらいいのでしょうか。そして、それが盗られたお金だということを信用してもらえるでしょうか。見知らぬ都会のベルリンで、エミール少年は、地元の少年たちと出会い、知恵と勇気で犯人を追いつめていきます。そして……。
とても面白くて爽快感にあふれた物語です。
「教授」と呼ばれる少年が、エミールのお金を取り戻すためにたてた計画・組織・実行力は痛快なほどで、さすが教授と呼ばれるだけのことはあります。
そして少年たちが泥棒を追いつめるシーンは、面白さも映像的迫力も圧倒的☆ こんな追い詰められ方をしたら、誰だって困ってしまうこと間違いなし。もしも自分が少年だったら、これに参加しない手はない。すみっこの方でもいいから。「やー、あのときは面白かったなあ。俺もあそこにいたんだぜー」と一生の語り草になるでしょう(笑)。
久しぶりに読み返したのですが、大人になっても楽しめました。
そして、自分が電車などではめったに寝ないほど慎重な性格に育ったのは、この物語で、かなり賢くて慎重な性格のエミールでさえ、どろぼうに盗まれることがあることを知ったせいなのかもしれないなあ、と思いました。いろんな意味で、ためになる物語です(汗)。
ところで、この物語には「お話は、まだぜんぜん、はじまらない」という序文がついているのですが、これがユーモアたっぷりに「物語の書き方」を教えてくれる秀逸な文章&イラストになっています。物語を書くときの心得、キャラクターや舞台の設定……子供の頃はなにげなく読み過ごしていた部分だったのですが、大人になってからこの部分を読むと、「こんな物語への導入もあるんだなあ」と感心させられました。もっとも毎回このような導入を使うのは、反則だと思いますが……(短い設定集を最初に見せるっていうのは、小説技法的には、ズルですよね)。