『角川インターネット講座 (14) コンピューターがネットと出会ったら モノとモノがつながりあう世界へ』
坂村 健 (監修)
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コンピューターとネットワークの進化について、その歴史から実用化の最前線まで総合的・網羅的に紹介してくれる本です。
総合的な内容なので、一つ一つの技術を深く学ぶことが出来るわけではありませんが(汗)、かなり網羅的に解説してくれているので、全体を俯瞰したり、コンピューターやネットワーク関係に関する記事などを書いたりする時に、参考資料として活用できると思います。専門用語が多数出て来るので、コンピューターやネットワークをあまり知らない方には読みにくいかもしれませんが、本文の下に脚注があり、専門用語(の一部)が解説されているので、それを読むと理解が進むのではないかと思います。
例えば、自動運転システム、ドローン、ウェアラブルコンピュータなど、技術の最新動向に関しても、写真つきで紹介してくれるので、とても興味深く読めました。
機械に仕事をしてもらう「自動制御」は、なんと2000年前にもあったとか! 蒸気機関で神殿の扉を自動的に観音開きにする「ヘロンの自動扉」というのが、2000年前の古代ギリシャ時代にあったそうです。
さて、コンピューターがネットワークと出会って、私たちの生活は飛躍的に便利になったと思います。例えばスマートフォン。分からないことがあったら、どこでもネットワークで検索して調べることが出来ますし、道に迷った時にも地図を表示してくれるだけでなく、道案内までしてくれるという、すごく頼もしい自分専用の秘書さんです。
そして今や、あらゆるものがネットワークに接続される「モノのインターネット(IoT)」時代。インターネットは、より環境に溶け込み、住居、交通、医療などすべてを一変させつつあります。
例えばイスラエル電力は、ビッグデータの解析で、電力インフラに問題が起こる最大30時間前に予兆を見つけ、電力需要や発電量の適切な管理によって突発的停電を予防できると考えているようです。またワシントンDC水道局も故障が起きそうな場所を予測したり、メンテナンス車両が通るルートを最適化したりしようとしています。このようなIoTは、現在は各組織内で閉じているようですが、今後はより広範囲な世界へと広がっていくことでしょう。ますます便利な社会になりそうです。
でもIoTの拡大で、ますます心配になるのがセキュリティとプライバシー。便利さと、セキュリティやプライバシーは相反する面がありますから……。例えば、東日本大震災の時に、ホンダがカーナビのデータを吸い上げて集計し、グーグルと協力してグーグルマップに通行可能な道を表示し復旧に貢献したという事例。この場合は集計情報だったのであまり問題はなかったと思いますが、非常時には、カーナビ搭載車のプライバシー情報をどこまで利用できるのか、などのことについて、ある程度、規約や基準を決めておいた方が良いのではないかとも思いました。
新しい知識を得られるとともに、いろいろなことを考えさせてくれる本です。