『武蔵野美術大学 美術館・図書館コレクション 江戸のしかけ絵本 立版古とおもちゃ絵』
佐久間 保明 (監修), 本庄 美千代 (編集)
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武蔵野美術大学の美術館・図書館が収蔵するコレクションから、立版古、すごろく、おもちゃ絵など、江戸時代のしかけ絵本約110点を紹介してくれる本で、『しかけ絵本の世界 武蔵野美術大学 美術館・図書館コレクション』の姉妹編です。
江戸から明治にかけてつくられた「立版古(たてばんこ)」とは、歌舞伎などの名場面が描かれた浮世絵を切り取って組み立てる ペーパークラフトの一種で、庶民の間で人気を博したそうです。組上燈籠とも呼ぶようで、出来上がりの後には、蝋燭を立てて燈籠のようにして大人と子供が一緒に遊ぶこともあったようです。
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この本では、江戸時代の組上燈籠や立版古について、その組み立て用部品の印刷シートと、完成見本の両方を紹介してくれているので、昔の貴重なペーパークラフトをじっくり鑑賞することが出来ます。
その上、なんと! 巻末には掲載の立版古のうちの8作品の組み立てシートがついているので、それを切り取って江戸時代の立版古を自分で組み立てることも出来るのです☆ こんな貴重な経験ができる本は、めったにありません。色彩もすごく江戸時代っぽくて、和室に飾りたくなる感じです。一応、組み立て手順の説明もありますが、組み立てシートの他に、好きな色の色画用紙を用意して、台紙として利用した方が組み立てやすいと思います(手順説明には、台紙に関する記載がないものもありますが、実は、この江戸時代の組み立てシートには、そもそも組み立て説明書が付属していなかったそうです)。
この本では、この「立版古」の他にも、多様なテーマで作られた「双六」、子どもの日常の遊びを描いた「あそび絵」、動かして遊ぶ「フラップしかけ、円盤しかけ」など、さまざまな江戸のしかけ絵が紹介されています。これらの絵を通して、江戸時代の風俗が身近に感じられます。現代のペーパークラフトとほとんど変わらないものが、江戸時代にもあったのですね……。
また「資料編」として、歌舞伎や立版古に関する解説もあります。
とても興味深い内容なので、しかけ絵本に興味のある方は、ぜひ一度読んでみてください。