『ダヤンのおいしいゆめ (Dayan’s collection books)』
池田 あきこ (著)
小さな絵本のシリーズ「DAYAN’S COLLECTION BOOKS」のなかの一冊で、夢を食べる「ばく」と、猫のダヤンの奇妙な友情物語です。
ダヤンの夢を気にいった「ばく」。「ばく」にほめられ、すっかりとくいになったダヤンは「ばく」といっしょに暮らすことになりました。ところが「ばく」はなんでも干渉してきます。ダヤンはうるさくなって……というストーリー。
正直に言うと、この絵本はあまり好きではありません。空回りする過剰な善意とその結末が……ちょっと現実的すぎて、後味が良いとは言えないからです(いちおうハッピーエンドになってはいますが)。
それでもここで紹介するのは、これが1988年に出版されたダヤンの記念的デビュー作の再販だからです(デビュー作の大型版は絶版です)。
ダヤンの物語は「シュール楽しい」という印象でしたが、このデビュー作は、読み手にいろいろと「解決できない複雑な思い」を抱かせる作品で、『ごんぎつね』と似た意味で貴重な物語です。このように楽しい「DAYAN’S COLLECTION BOOKS」の中の一冊という形で、うっかり読むと、色々と深く考えさせられるので、子供の正しい成長にとっては、必要な体験をさせてあげられるのかもしれません(汗)。