『タシールエニット博物館―ダヤン画集』
池田 あきこ (著)
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不思議と不条理のタシールエニット博物館をモチーフにしたダヤンの画集です。
嵐の夜、だれもいないはずのタシールエニット博物館の扉が開いています。そこにダヤンが入ってみると……実際のタシルの街にあるタシールエニット博物館と、ときにはすれちがい、ときには平行線を描く、もうひとつの博物館の扉も同時に開いたのでした……。
本の前半の3/5ぐらいは、不思議な絵の画集です。池田あきこさんらしい、ユーモラスなのに細かく毛並みが描かれたダヤンが博物館(展示室)や、博物館と思えない場所(暗い森や螺旋の街、砂丘まで!)を巡ります。全体に茶色や深緑など、博物館っぽいノスタルジックな色彩で統一されているのも素敵です☆
博物館に入った直後の絵「七つの扉が同時に開いて 長い爪のはえた足があらわれた」の美しい奇妙な不気味さに、早くも心をわしづかみにされました。
そしてダヤンがカニの手足(?)とテーブルを囲んでスパゲティを食べている「カニを招んだのは まちがいだったのかも知れない」では、いったい、どうしてこんな絵を?と頭の中がクエスチョンマークでいっぱいに☆ この不条理さがたまらないんです。
この画集部分だけでも大満足なのに、後半の2/5ぐらいは、さらにパワーアップした「わちふぃーるど」の世界力! わちふぃーるどの世界観を彩る小物たちの設定集といったらいいのでしょうか? もう、ノックアウト寸前、ふらふらになりながら、「飛び岩跳ね石」などの博物館の陳列品のカタログ(イラスト&来歴などの解説)を読みふけってしまいました。これら一つ一つの陳列品で、それぞれ童話の一冊が書けてしまいそうです。
この本は、池田あきこさんの初の画集だそうですが……すでに才能が溢れかえっていたのでした。お勧めです☆