『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』
ビクター・マイヤー=ショーンベルガー (著), ケネス・クキエ (著), & 1 その他
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話題の「ビッグデータ」を初めて本格的に論じたベストセラーの翻訳版です。ビッグデータについて総合的・多角的に論じているので、ビッグデータとは何かだけでなく、ビッグデータがもたらす社会変化などについても、さまざまな事例で具体的に知ることが出来ます。
翻訳が上手いせいもありますが、論旨がとても分かりやすいので、特に「コンピュータ=間違わない」と考えている方には、ぜひ読んで欲しいと思います。パラダイムシフトを起こすこと間違いなしです(笑)。この本を読んで、グーグルの翻訳を、ときどき吹き出したくなる訳文を出してくるにも関わらす、なぜ使いたくなるのかが、分かったような気がしました。グーグル翻訳は、今後もビッグデータの活用で、怒涛の進化をとげていくのでしょう。
さて、ビッグデータには厳密な定義はないそうです。インターネットの世界を検索するとすぐに分かるように、すでに膨大な情報やデータが、電子的な形で蓄積されていますが、これらを総称して、ビッグデータと言ってもいいのかもしれません。が、本書でのビッグデータの捉え方は、それだけではなく、次のようなものだそうです。
「小規模ではなしえないことを大きな規模で実行し、新たな知の抽出や価値の創出によって、市場、組織、さらには市民と政府の関係などを変えること」
押し寄せる情報の波によって、私たちの生活は大きく変わろうとしています。
ビッグデータを利用することで、さまざまな企業が有用な活動をしています。例えばグーグルは、複数の検索語と数式を組み合わせて、なんとインフルエンザの流行を予測しました。大勢の人々がネットで「咳の薬」や「解熱剤」を検索し始めたら、インフルエンザが流行りはじめたと予測できるのです。こうしてグーグルは、公衆衛生局よりもタイムリーで有効な指標を手に入れることが出来たのです。
これがビッグデータの力です。同じようにグーグルの翻訳システムも、きちんと翻訳された文法ルールと辞書ではなく、乱雑でも大量のデータの集合を活用するという方法を使っています。手に入る翻訳を手あたり次第に利用してコンピュータを鍛えているそうです。
このようにビッグデータには、物事の理解の仕方や考え方を大きく変える力があります。 スモールデータの時代では、「仮説→検証」の試行錯誤が必要でしたが、ビッグデータの時代では、豊富なデータさえあれば、理論なしでも、相関分析だけでデータが答えを教えてくれると言うのです。
ところで、ビッグデータの処理には、正確な処理と、乱雑な処理の二種類の方法があります。そのうち、銀行や証券取引所のデータのように正確に処理しなければならないビッグデータは少ないそうで、予測などに使うのなら、正確なデータではない精度が落ちる乱雑なデータでも構わないそうです。数字から精度を読み取るのではなく、確率を読み取るのがビッグデータで、それでも全体的な傾向・動向をつかむことが出来ると言うのです。
これを読んで、目からウロコがぼろぼろ落ちるのを感じました(汗)。
確かにビジネスで求められるのは、時間がかかる完全な答えではなく、すぐに出る有益な答えだと思います。
コンピュータのする予測といったら、かなり精度の高い予測をするものと勝手に考えていましたが、ビッグデータによる予測は、コンピュータ自身にも、どうしてそうなるのか説明できないもののようです……(汗)。
これからの世界を生きる私たちは、このような性質を理解して、「ビッグデータ」と付き合うことが必要になるのでしょう。
この本では、「ビッグデータ」に関する現状だけでなく、今後の使われ方の予想や、プライバシー侵害などのマイナス面などについても、総合的に解説してくれます。すごくためになる情報満載ですので、ぜひ一度、読んでみてください☆