『10年メシが食える漫画家入門 悪魔の脚本 魔法のデッサン (アフタヌーン新書 9) 』
樹崎 聖 (著)
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漫画家の樹崎さんが、惜しげもなくノウハウを披露してくれる超・実践的な漫画術の本です☆ 魅力的なストーリー(脚本)の作り方、自然なパースの取り方から、なんと編集部別の持ち込みの傾向と対策まで書いてあります☆
内容は、「第一章 悪魔の脚本術」で、物語が面白くなる構成や、魅力的な主人公の作り方などを教えてくれ、「第二章 魔法のデッサン」で、自然なパースの取り方を分かりやすく解説してくれるという構成になっています。
これがすごく具体的で分かりやすいのです☆
あとがきによると、樹崎さんは専門学校(漫画学科)で非常勤講師をしていたことがあるそうで、その経験を活かして書いているせいか、初心者でも分かるように教えてくれます。しかもご自身が、試行錯誤して努力した体験から教えてくれるのです。
例えば脚本の基本構成でも、一般的な「起承転結」ではなく、「誘い・じらし・満足の三幕構成」でいいと言っています。既存の理論にとらわれず、本当に面白い漫画をめざす樹崎さんの姿勢が感じられます。
なかでも参考になったのは、「ギャグを描く時は、ロングショットを多用すべし」という教え☆ 人の心理から考えると、アップショットはキャラクターの心まで親身に強く感じさせ、ロングショットは他人事として気軽に笑わせてくれるから、というのがその理由で……ああ、なるほど☆ とすごく納得しました。その他のギャグ漫画のコツも、「ギャグ漫画には、普通の価値観を持つ被害者が必要」とか、「予想できないパンチを打て」とか、これ以外にも色々コツを教えてくれるのですが、どれもすごく参考になります☆
また後半の「魔法のデッサン」では、背景の描き方やキャラクターの描き方を教えてくれます。これも実際の絵をもとに教えてくれるので、すごく具体的で分かりやすいのです。
例えば、風景のパースの取り方で言えば、「きちんと消失点をとってパースの絵を描いたつもりでも、どこか変な絵」というのを結構書きがちですが(汗)、こういう場合は、人間の視界を考えて描くと良いそうです。人間の視界は円の形になっているので、実際にはその外は見えないのに、円の外側に位置する部分まで描いてしまうと、どこか不自然な絵になってしまうということで……これもすごくためになりました。確かに、どこか不自然になった部分って、絵の外周にあることが多かったような気がします(汗)。
またキャラクターを描くときには、楕円のパースを考えて描こうという教えも、すごく実践的でした☆ これこそまさに「漫画」を描く時に必要な考え方だと思います。一般的な美術教室で教えてくれるデッサン法は「静止画」を想定していますが、「漫画」は「静止画」であって「動画」でもあるからです。漫画はキャラクターを動かさなければならないので、どの向きでも同じキャラクターだと分かるように描かなければならない、ということを考えると、この楕円パースの威力を実感します。
その他にも服の皺の描き方とか、参考になる話が盛りだくさん☆
漫画を描きたい方だけでなく、物語を書くことや、絵を描くことが好きなすべての方に読んで欲しい本で、お勧めです。
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この本には、さらにパワーアップした第二弾の『10年大盛りメシが食える漫画家入門』があり、そちらもお勧めです(第一弾の本書を読まないままでも読めます)。