『となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)』
関根 眞一 (著)
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苦情処理のプロが、1300件以上を対応した体験から、クレーマーとの交渉術を教えてくれる本です。
読むのがちょっと辛い本です(汗)。というのも、実例として出て来るクレーマーたちの姿があまりにもリアルなので、自分がこの苦情処理をする立場だったら……と考えると、冷や汗がたらたら流れてしまうからです。
著者の関根さんは百貨店のお客様相談室で室長をなさっていた方なので、さまざまな商品へのクレームで、無理難題やイチャモン、恫喝などの体験なさっていて、本書の冒頭から四分の三は、「第一章 クレーマー物語」(クレーム事例紹介)です。
続く「第二章 苦情社会がやってきた!」は、苦情がどんどん増えてきている現状や、百貨店以外の学校、病院などに寄せられる苦情などの現状紹介。
そして最後が「第三章 クレーム対応の技法」。ここでは、関根さんが、貴重な体験から得た、苦情対応&クレーマー対応の基本姿勢を教えてくれるので、すごく参考になります。
ところで、最近は、核家族化&少子化が進んでいるので、兄弟の数も少なく、そもそも家庭や学校で大声で口喧嘩をしたことがない……という方もいるのではないでしょうか。それなのに、「第二章 苦情社会がやってきた!」でもあるように、クレーマーは増えつつある現状なので、仕事をしていく上で、突然、クレーム処理をしなければならなくなる可能性は増えつつあると思います。
そんな時に、いったいどうしていいのか分からず、ストレスが溜まっていく……ということになってしまう前に、この本で、仮想体験をしておくと、クレーム処理がしやすくなると思います。
この本の中で関根さんは、苦情対応&クレーマー対応の基本姿勢として、「非があれば、真摯な態度で謝罪する」「お客様の申し出は感情を抑え素直に聞く」「正確にメモを取る」、などの項目をあげて教えてくれます(もちろん、これ以外にも多数の項目があります)。
クレーム対応は、お客様の立場に立ち、冷静に誠意をもって行うのが大切なようです。
そうは言っても、苦情処理を持ち込むお客様は、すでに怒っている人が多いようで、「第一章 クレーマー物語」の事例を見ると、感情的になって言い返したくなったり、恐怖に竦んだりしてしまいそうです(汗)。「お客様相談室」が、いつも行きたくない職場のトップにあるのも不思議はありません。
でも、著者の関根さんは決してへこたれません。最後の方で、「私は、これほど面白い職業もないと思います。人が怒り文句を言うさまは、なかなかまともに見ることができないわけで、その対応のために、その場で立ち会うのであるから、リアリティーがあり、言葉はおかしいですが、「楽しい」とすら感じられます。」なんて書いてます! すごいと思います。
ところで、商品に欠陥があった時に修理や交換を申し出るのは当然のことで、クレーマーの中には、迷惑なクレーマーではない人もいます(この本の事例の中にも、そういうケースも書いてあります)。人間が作る商品に、完全無欠なんてことはありえないので、苦情処理をする場合には、この人はクレーマーではないかと疑う前に、まずは「苦情は正当なもの」だと仮定して、対処を始めるべきではないかと思います。
誠意をもちながらも、正しくないことには屈しない強さももって、冷静に対応することが、いつも出来るといいな、と思います……(汗)。